幸司 結婚
あの同窓会から2年。俺と真はようやく結婚式を挙げる事が出来た。結婚式を挙げなくても俺達の想いは変わらないが…区切りとして必要だ。
新郎の待機室で父さん達と呼ばれるのを待っている。なんで父さんは俺より落ち着きがないんだろうか…いつも落ち着いてないからかもしれない。…これが父さんのいつも通りって事か。
「幸司…わかっているな」
「全然わからないよ」
主語どれよ?
「結婚式が終わったら初孫に決まってんだろうが!」
「結婚式始まってもいないけど?」
父さんの頭の中はどこまでぶっ飛んでんだろうか…
「細かい事はいいんだよ!」
「細かくねぇよ。一世一代の大舞台だからな?」
時々…この人がちゃんと働いているのか心配になる。
「ハ!結婚式如きで何を…俺はお前をそんな小さい男に育てた覚えは無い!」
「俺は父さんの背中を見て育ったよ?」
こんな大人にはなりたくないと思いながら。
「まあ…父親は背中で語るって言うからな。流石は俺の息子だ!」
「うん。任せてよ」
父さんからはちゃんと学ばせてもらってる。反面教師としてね。
父さんと馬鹿話をして緊張を和らげているとゲストの入場が始まると言われた。とりあえず他の人の迷惑にならないように父さんを母さんに預ける。…多分、これで大丈夫だろう。母さんは父さんと比べるとマトモだし…
しばらく待っていると次は新郎新婦の入場だからと呼ばれた。
式にもいろいろやり方があるようだけど…新郎が先に入場して、新婦が新婦の父親と一緒に入場するらしい。
まずは俺が先に入場する。式場には俺の両親と明弘や他の友人。親戚がいる。真側も似たような感じで総勢46人だったかな。皆が俺達の結婚を祝福してくれているのは表情を見ればわかる。
神父っぽい人の前まで行き、新婦の入場を待った。……あ、これヤバい。今になって緊張してきた…
新婦の入場です
式場の扉が開き…義父さんと真が入場してきた。…ぅあ…ドレスを着ただけなのにめちゃくちゃ神々しく見える。あれが俺の女神ですね。
真は右手を義父さんに預けて歩いてくる。変わった歩き方だ。きっとこれは焦らしプレイ。新郎のメンタルをジワジワ削ってくるんだな。
俺の前まで歩いてきた後に義父さんは真の右手を俺に預ける。…これは胸熱だ。娘の今後は君に任せたって言われた気がする…任されました!
俺達の簡単な紹介を終えた後に指輪を交換する。まずは俺から真の指に…指が震えて指輪を落としそうになったのは秘密だ。
次は真から俺の指に指輪を…次はベールアップからのキスだ。やらなくても良いらしいが真がどうしてもって言うからやる事にした。
目を閉じて待っている真の唇にキスをする。5秒弱って言われたな…あれ、本当に5秒がわからない…長い気もするけど…短いかもしれない。もう大丈夫だと思って唇を離す。…後から聞いたら15秒くらいキスしてたって…本当にわからなかったんだよ…
~中略~
長ったらしいスピーチがあったりしたけど中略する。だって明弘とか泣きすぎで何言ってるかわからなかったし…
ここまでくると俺も言われた事のみを黙々とこなしていた。介添人の存在に感謝しました。この人がいないと何をしたらいいのかわからなかったよ…
いろいろあったけど何とか結婚式を終える事が出来た。中略しないと長すぎて無理。実際に覚えてないし…後半は言われた通りに動いてただけだからな~…
真と結婚してからは大変だった。本当に俺が泣くまで真は俺から搾り取ったから…子供が欲しい気持ちは良くわかる。俺も欲しいと思ってるから。でもちょっとくらい手加減して欲しいです…
明弘達とは家族ぐるみで仲良くしている。家族ぐるみに俺の両親も入っているが…まあ、いいだろう。
美咲の事はよく知らない。同窓会で会ってから連絡していないから。明弘が言うには俺達の結婚を知って地元から離れたらしいが…実家がここにあるから突然帰ってくるかもしれないな。
俺は真と変わらず過ごしている。始まりは歪な関係だった。きっと俺達は普通じゃない。だけど…俺達は俺達なりの幸せを知っている。だから断言できる。
俺達は間違いなく幸せだと…
これからも幸せであり続けると…
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