レベル6
第34話 アリアナも凸ろう!
3
さて、キャラを凸れる事が判明しましたので、次はアリアナを1凸しよう!
要はキャラのメインストーリーをやれば良いので、教会へ行こう!冒険者協会に聖光教会からの依頼はよく来ている。内容は教会の雑事ばかりな上、報酬も大した事ないので引き受ける人は少ない。美嗣は受付で教会の仕事を片っ端から引き受けた。アリアナは暗い顔をしたが、教会の人手不足は知っていたので一緒に来てくれた。
王都の中心にシャルル城があり、その北方にアニエル大聖堂がある。王宮よりも高い場所に建造されており、アーチ型のゴシック造りに中はステンドグラスの建造物。聖堂の奥には聖母アニエル像が出迎えてくれる。
ベーレを被った女性の立像がステンドグラスに照らされ、足元には青い薔薇が飾られていた。目を瞑り祈る彼女の神像に見惚れていると、アリアナが美嗣に話し掛ける。
「ミツグさん、礼拝してきてもいいでしょうか?」
「うん!いいよ」
アリアナは教壇の前へ行き、聖母像の下に跪き手を合わせる。その姿はまさしく敬虔な修道女であった。
「何をしているのですか?アリアナ」
祈るアリアナを叱ったのはこの教会のシスター長・イリスであった。30代くらいの厳しそうな女性で、眉根を吊り上げたままアリアナに近寄る。
「あなたはもうシスターではありません。信徒でもない者が聖母アニエルに慈愛を賜るのですか?」
「いえ、その、すみません」
理不尽な説教に萎縮するアリアナ。シスターでなくても礼拝は自由なはずなのにそれを許そうとはしなかった。そればかりか、ミツグ達を追い返そうとしたが、神父がそれを止めた。
「シスターイリス、依頼を受けてくれた方々を追い返すなんて失礼だ。それにアリアナ、無事で良かった。いきなり姿を消したから心配していたんだ」
神父・グザヴィエが貼り付けたような笑顔で近付いてきた。アリアナの肩に手を乗せ、薄く目を開いた。
「冒険者になっていたとは驚いたよ。けど、危険な仕事だから心配だよ」
「いえ、私の力を役立てられて、とてもやりがいを感じております」
「本当かい?前に冒険者は竜に敗北したと聞いている。そんなハイリスクな仕事は辞めて、戻ってた方がいいよ」
グザヴィエの手がアリアナの肩から腕に移る。親指で撫でるように二の腕を触っていたが、急にその手が離れる。美嗣がアリアナを引っ張って抱き止めたからだ。
「あの!私達は仕事で来ています!早く案内して貰えませんかねぇ!」
睨む美嗣にグザヴィエは驚いて何も言えない。神父が怯んだ隙にイリスが美嗣達を案内し始めた。
「ちっ、エロ神父が!私のアリアナに触んじゃねぇよ!」
聞こえない程度に暴言を吐いて、大聖堂を出ていく美嗣達。アリアナは体の震えが止まり、美嗣の手を強く握った。
教会から依頼はほぼ雑用であった。壊れた瓦礫の撤去、庭の掃除、屋根の補修など。聖堂の外観と内装は綺麗に保てているが、宿舎や一部の庭は手入れがされておらず、ボロボロの状態であった。
まさにハリボテが相応しい言葉であり、教会の財政難が窺える。一日では終わらなかったので、何日か教会の宿舎に泊まり、雑務を片づける事にした。
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