レベル4
第23話 経営者仲間ができた!
1
中層ハウスに引っ越してからは、その違いに驚いた。下層ハウスはならず者や偏屈な者達の集まりであるため、ガラの悪い雰囲気だったが、ここにいる者達は良識ある者が多い。
冒険者として長く勤めている者がほとんどで、そういった人達は自然と対人関係や礼節を重んじるものだ。己の命と生活が懸かっているため、道徳のない者と一緒にいたくはないし、明確な規律がない分、常識を欠けばつま弾きにされてしまう。上下関係は希薄だが、横の繋がりは強固なのだ。
美嗣は中層ハウスに来て一人の冒険者と親しくなった。名をエメラルダといい、親しみを込めてエメと呼んでいる。藍色のロングヘアーに三編み。盾持ちのシールダー。彼女はパーティーの頭で、10人の冒険者を束ねている。
美嗣はエメからパーティー経営のノウハウを教わった。メンバーへの気配りやトラブルの解決、パーティー同士の連携やいざこざの回避など。美嗣は真摯にエメの話を聞き参考にさせてもらった。
「でも、カインがパーティーを組むなんて信じられないな。それに4か月も続いているなんて……」
「そうなの?」
「ああ、一時期私の所にいた事もあるんだけどな。他のメンバーとの折り合いが悪くなって、抜けたんだよ」
美嗣はカインの過去話が聞きたくて、エメの話に食い付く。
「カインは人付き合いが苦手なの?優しいし、気遣いはできるし、ワンマンプレイでもないよ?」
「腕や戦闘面は申し分ないし、チームプレイも最高さ。けど、一番の原因はノド村の生き残りだって事を言われるのが嫌だったんだろう。陰で噂されたり、腫れ物扱いされたり、息苦しかったんだろうね」
ノド村とはカインの生まれ故郷である。
魔物によって滅ぼされ、全住民が亡くなってしまった。生き残ったのはカインのみで、家族も友人も、弟も失った。カインにとっては触れられたくない出来事で、興味本位で聞かれるのも嫌なのだ。
「あんたとは馬が合うようだ。これからも仲良くしてやってくれ」
「はい!」
美嗣はエメの言葉に励まされ、悩みがあれば相談するようになった。姉御肌で親しみ易い彼女に懐いていった。
◼
中層ハウスに来てから1週間、アリアナが風邪を引いてしまった。この世界でも病気はする。治癒で怪我を直せるし、病気も緩和できる。教会に行けば熱を下げられるが、アリアナは行くことを拒否した。
レイを看病のために残し、仕方なくカインと美嗣だけで仕事に向かう。協会で二人で受けられる仕事を相談していると、エメが話しかけてきた。人手が足りないなら助力すると提案してきた。シールダーのエメがいるなら、怪我は薬草か食べ物で補えるので、ありがたく申し出を受ける。
美嗣達は北の山岳に来ていた。雪鳥を倒すために崖を登り、白と青羽毛の大鳥に挑む。レベル60、体力45870、攻撃力1080、防御力657。雪鳥は攻撃力も防御力も高くないのだが、冷風で体力をじわじわ奪われるので、短期戦をしないと厄介な魔物だった。エメが先頭に立って盾を構える。
……
エメラルダ レベル62
所属 冒険者協会
誕生日 5月5日
恩恵レベル 1凸
加護 土
……
武器 岩の女神 レベル80
礼装 防衛の礎 レベル80
装備 月夜の銀章 約束された勝利 黎明の杯
……
体力 12800
攻撃力 1175
防御力 1358
神力 566
加護力 35.6%
耐性力 66.2%
蓄積率 89.5%
練度 126.5%
運 35.8%
……
通常攻撃 レベル2
スキル 大地の恵み レベル6
奥義 絶縁の中庭 レベル6
……
スキルでシールドを張り突進してきた相手にダメージを与える。奥義は半径10メートルの結界を張り、完全防御と攻撃力の補填を可能にする。雪鳥の鉤爪の攻撃は盾で防ぎ、突進攻撃はスキルでノックバックさせた。
氷柱を落としてきたタイミングで絶縁の中庭を張り、美嗣もスキルを使ってカインの攻撃力を上げ、カインの奥義で一撃で倒す。僅か5分で雪鳥を倒し、寒さによるダメージも軽度であった。
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