第12話 装備ガチャは沼!
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お金が貯まってきたらやることは一つ。武器、礼装、装備を強くしていく事。それがダメージアップに繋がるからだ。残念ながら、キャラのレベルはマジの経験値じゃないと上がらない。ゲームなら経験値カードがあればすぐにレベル100までいけるのだが、こればかりは現実的な仕様になってしまっている。通常攻撃、スキル、奥義のレベルも同じ方法でしか上がらなくなっている。
けれど、レベルが低くても火力を出すことはできる!それがさっき言った3つを強化することだ。ゲーム内でもレベル1のキャラがレベル90の武器や礼装、装備を付ければ通常攻撃1000は余裕で出せた。なので、高ダメージを出せる希望は残されている。
武器はキャラによって持てる武器が違ってくる。カインと美嗣は剣だが、他に大剣、弓、盾、杖がある。
礼装は着ている服や武具一式の事だが、ゲーム内では1キャラにつき2パターンしかない。しかも、もう一着は有料アイテムだ。これは着せ替えが無限に出来たら、それに応じたモデリグをし直さなければならなくなるので必然だが、この世界では一式揃えていればどんな礼装でも着せ替えられる事がわかった。(自分で検証した)。礼装の幅も少し広がり、美嗣の構想がさらに広がった。
装備は5パターンあり、首飾り、徴章、腕輪、指輪、ベルトになる。1キャラにつき付けられる装備は3つまでだが、これがプレイヤーの頭を悩ませるものであった。装備は何をする役割があるかといえば、レベルで上げられないその他の数値を上げるためにある。
キャラレベルが上がると、体力・攻撃力・防御力・神力は自動的に上がる。だが、加護力・耐性力・蓄積率・練度・運はほとんど上がらないのだ。美嗣が見ているステータス画面の解説をするとこうなる。
……
体力:キャラのHP。
攻撃力:通常攻撃のダメージが上がる。
防御力:ダメージを軽減できる。
神力:スキル、奥義の威力が上がる。
加護力:属性による力が上がる。
耐性力:毒や侵食、全ての耐性が上がる。
蓄積率:神力のチャージが溜まりやすくなる。
練度:全てのダメージ量が上がる。
運:ヒットの確率が上がる。
……
加護力はスキル、奥義のダメージに加算される。練度も高く盛っておけばダメージ計算に反映される。さらに運を上げておけば、高ダメージの確率が上がる。装備を制する者が高ダメージを制するのだ。さて、神装備を手に入れるためにダンジョンへ行きましょう!
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王都から北に行くと、暗い森の奥に巨大な洞窟があった。ローブ王国唯一のダンジョン『逆風の谷』である。中に入ると松明が灯る下り階段が続き、骸骨兵が数体配置されている。
それを倒して広間にいくと黒騎士が一体出てきて襲ってくる。黒騎士を倒すと奥に宝箱があるので、その中から装備が5つ出てくる。出てくる装備はランダムな上に、強化できる数値もランダムだった。
例えば、【月夜の銀章 攻撃力1.2% 体力258 防御力0.8% 蓄積率2.8%】というように4つの項目を強化できるのだが、これで【神力・練度・運】の項目がでるのは稀であった。なので!もう一回ダンジョンに入って装備をゲットしよう!
こうやってダンジョンに籠ってずっと装備厳選をしているプレイヤーを『地底人』と呼ぶこともある。それくらい装備の良し悪しは火力に直結しており、終わりの見えない沼ガチャであった。美嗣は取り敢えず20回ダンジョンを周回した。
装備が100個を越えたところで、カインにぶちギレられた。確かにダンジョンに出てくる魔物の討伐はカインに任せっぱなしだった。ゲーム内ではキャラの消耗なんて表示されないが、彼は生身の人間だ。疲労も磨耗も感じて当然だった。
カインにスカーフを掴まれ『いい加減にしろ!』と凄まれてたが、怒りに歪むカインの顔もカッコよかった。カインの剣幕をよだれを垂らしながら見ていたら、カインにドン引きされ置いていかれてしまった美嗣。
慌ててカインに謝り、その日は彼の好物である鶏のガランティーヌをご馳走した。カインに見捨てられたら、生きていけない!2重の意味で!装備集めは程々にしないといけないと心に刻んだ。
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