第15話 エルフ美少女をゲットしよう!


 3


 美嗣は料理をしていた。

 ハウスの調理場は共有スペースなので誰でも使用可であった。ほとんどの者は外で食事をしてくるので、素材の加工や下処理以外は使われる事がない。美嗣は無法状態で放置されていた調理場をカイン達と一緒に片付けた。


 散らかったゴミを捨てて、器具を洗ったり、研ぎ直したりして使いやすくし、竈の灰もすべて掻き出した。掃除をしたことで他の利用者も雑な扱いを控えるようになり、今では快適に料理ができる。精肉店から安く買った燻製肉と農家からタダで仕入れた卵でスクランブルエッグを作る。後は取ってきた果実を盛り合わせて3人分の食事をトレーに乗せて2階へ戻った。


 部屋へ入るとカインがすでに起きていて身仕度をしていた。彼がパンを買ってくる間、美嗣はアリアナを起こしにいく。仕切り用のカーテンを開けてアリアナに声をかける。ぐっすり就寝している彼女の寝顔が可愛かったので、美嗣は側に座りにやけながら見ていた。その間、髪の匂いを嗅いだり、ちょっとおっぱいを触るくらいはセーフだよね!結局、カインが戻ってくるまでダラダラしてしまい、作りたての朝食は少し冷めてしまった。

 3人で朝御飯を食べた後、美嗣は今日の予定を話す。


「今日は~、もう一人仲間を勧誘しに行きたいと思いま~す!」

「また、人が増えるのか?この部屋は3人用だぞ」

「大丈夫!その子は女の子だから!スペースは取らないよ!私とアリアナのベッドを繋げれば3人で寝られるでしょ!」

「お相手は女の子なのですか?賑やかになりそうですね」


 美嗣は満面の笑みで返事をする。仲間にするのはエルフ耳の超絶美少女!まだプレイアブルになっていないキャラだけど、そこは当たって砕けろの精神で会いに行きたいと思います。



 ローブ王国の南西に巨大な湖がある。

 この国の水源でもある湖畔の周りにはいくつか町や村がある。その最南端の村から更に南へ行くと、狩人達がよく出入りしている森がある。緑光の森と呼ばれ青々とした森と地面に広がる苔が、まるで緑の絵の具だけで描いたような景色を生み出している。鹿や猪が多く生息しており、弓を持った狩人に会うこともある。


 今、野草を食べている猪を剣尻けんじりが狙う。弓を引き絞り放たれた矢は、猪の直上に落ちてきたリンゴを貫く。猪が驚いて走り去るのを見届け、フードを被っている少女は木から下りてリンゴの刺さった矢を抜き取る。


 彼女は赤く実ったその果実を口にする。

 口内に広がるのは酸味と苦味。鳥でさえついばまないほど糖度を失ったその実は、それを『好んで食べる生物』が絶滅してからは自然繁殖が難しくなっていた。もう一口リンゴにかぶりつくと、断末魔が聞こえた。そちらに目を向けると、先程逃げ去った猪が巨大な蜘蛛に食われていた。


「これも……天運か」


 少女はそう言葉を発する。魔物に食われなくとも、あの猪はリンゴが頭に当たった事に驚いて岩に激突して死ぬ運命だった。『死』が迫っていた事には変わりなかったのだ。猪を食らい糸で丸めた蜘蛛は少女に標的を変える。彼女は怯える事もなく迫る上顎うわあごを見ていると、誰かに抱えられて強襲を逃れた。少女を抱いたまま転がった美嗣は全長5メートルある蜘蛛を見て喚く。


「はわわわわっ!蜘蛛でかっ!怖ぁっ!」


 蜘蛛を恐れて動けない美嗣。だが、次の瞬間には蜘蛛の8つの目は斬撃によって切り裂かれ、寸断されて絶命した。カインが奥義を使って助けてくれたのだ。美嗣は魔物が死んだことに安堵し、胸に押し当てていた子供を離す。深緑のフードがとれて真っ白な御髪が現れる。その顔を見た時、ゲーム内で彼女を最初に見た時と同じような、鼓動の高鳴りを感じた。


「おっ、うおおお、おおお!ちょうど君を探していたんだよ!会えて良かった~!」


 美嗣はお目当ての子を見つけられて喜んだ。もっと鑑賞会をしていたかったが、今は目的を優先した。


「取り敢えず~、服脱がすね!」


 問答無用で少女の服を脱がし始める美嗣。カインは終わったら声を掛けるようにいい、その場を去った。


レイのイラスト

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https://kakuyomu.jp/users/ki_kurage/news/16817330657727317455

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