四人で行くサマーランド

「youさん、私ですよね?」


「あたしだよね? you様」


「雄二、ボクだよね?」


 紫乃、未海、朱音が僕を見つめていた。


 周りからは水の音と人の声が聞こえる。


「ええと……じゃあ僕は――」


 そして3人は水着だった。


 ◇ ◆ ◇ ◆


 このあたりの学生なら誰もが知っている。巨大なプルーランド、『ミラクルワールド』が連日テレビのCMをしていた。


 野外プールや天候を気にせず遊べるドームプールなど、多彩なウォーターアトラクションが存在する有名な施設だ。


 僕も幼い頃に行ったことあるが、先日、リニューアルオープンを果たした。


 それを見た紫乃が、「一緒に行きませんか?」と言ったのが発端となり、未海、朱音と行くことになった。


 初めは気軽な気持ちだったが、当日が近づくに連れて大変なことになっていると気付きはじめた。


 女性3 男1 つまり僕はハーレムみたいな状態で行くことになる。


 それも3人はとびきり可愛い。何かあったとき、守らないといけないは僕だ。


「大丈夫かなあ……」


 不安を抱えつつも、当日を迎えた。


「おはようございます、youさん」


「ふぁああ、楽しみで夜眠れなかった……」


「楽しみ、いっぱい遊ぶ」


 最寄り駅で現れた3人はとにかく可愛かった。紫乃は花柄のワンピースに麦わら帽子、未海はブルーのシャツにショートパンツ、朱音はロリータファッションで、今日は白を基調としている。


 到着するなりやっぱり目立つので、紫乃と未海が「かわいい」と朱音の頭を撫でたり、ぎゅーしはじめた。一応、先輩なんだけどね……。


「じゃあ行こうか。はぐれないようにね」


 先生の引率のようなことを言ってしまったなと、少し恥ずかしくなる。

 

 駅を乗り換えて向かっていたのだけれど、やはり周りから見られることが多い。


 朱音のロリータのせいではなく、3人が可愛すぎるからだ。


「高校生かな? どっかのモデル?」


「どうだろ。にしては服がバラバラすぎないか?」


「どちらにせよあの男、羨ましい……」


 うーん、やっぱりプールで気を付けなきゃな。


 そうして到着。入口は人混みで混んでいたけれど、事前に予約をしていたのですんなりと入れた。

 

 更衣室で水着に着替えて待っていると、最初に紫乃が現れた。


「お待たせしました。二人も後から来ます! 気持ちいいですねえ」


 いつもと違って少しばかりテンションが上がってるらしく、微笑みながら太陽光を手で遮断していた。


 水着はオフショルダーで肩が見えつつ、紫乃のモデルのようなスタイルが人目で見てわかるほど足が露出していた。


 ほんと……綺麗だ。


「おそくなったー、you様、どうかな?」


「雄二、お待たせ」


 次に現れたのは未海と朱音。


 未海は小柄ながらも女性っぽいスカートタイプの水着で、白い肌が光をはじいている。


 朱音はめずらしいワンピースタイプの水着で、肌こそあまり見えないようになっているが、前髪をあげているので、いつもより可愛い顔が見える。


 いや、全員が可愛い”すぎる”


「……みんな、可愛いし、本当に綺麗だよ」


 何気なく漏れ出た感想に、3人は笑顔になった。


「じゃあ、いこっか? まずは流れるプールとかどう?」


 その時、紫乃が一目はばからず僕の右腕を掴んだ。胸がむにゅっとあたって、思わずびっくりする。


「し、紫乃!?」


「えへへ、行きましょうか」


 そして未海と朱音が駆け寄って、反対の左腕を掴んで来る。


「あ、ズルいよ! 紫乃!」


 周りの視線が凄まじく、なんだったら誰か暴言を吐いてる人がいた。


「ボクも、手を繋ぎたい」


 ……ほんとうに大丈夫かな?




 

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