里奈と添い寝

「お兄ちゃん、ごめんなさい……」


 悲し気に頭を下げる里奈。


 話を聞くと、里奈はとにかく寂しくて不安だったそうだ。


 突然僕が引きこもりになって、かと思えば友達が増えて出かけたりして、それも紫乃といった女の子ばかりで。


 そんな中、大好きだったyouが兄の僕であるとふと気づいた。


 その繋がりで、彼女らがAngel、MIU、霧雨アカネだということも。


 写真の撮影は僕を撮影していただけらしいが、増えていく登録者数に困惑した里奈は、独占したくて写真を乗せてしまった。


 しかし怖くなってすぐに消した、これが今回の事件の顛末だ。


 思えば、里奈は引きこもった僕のことをいつも気にかけてくれていた。


 日に何度も声をかけてくれたり、料理をもってきてくれたり。


 もっとちゃんと時間を作っておくべきだったんだ。


 自分だけで引き籠りを脱却した気になっていたのが、良くなかった。


「僕ももっと話会えば良かったごめんね。でも、紫乃たちには謝らないと」


「わかりました……」


 メッセージを送って、僕たちは二人で紫乃たちに会いに行った。


『そうだったんですね。大丈夫です。後はyouさんから話すと思うので、私からは特にないですよ』


『そっか。もうしちゃだめだよ』


『雄二、なでなでしてあげて』


 怒るだろうと思っていたが、皆優しくて、誰一人嫌悪感すら抱いていなかった。

 

 それが逆に里奈の反省を更に促したらしく、涙を流しながら謝っていた。


「間違えることは誰にである。立ち上がって、正しい方向に向き直すことが大事だよ。僕もごめんね、今日はいっぱい喋ろうか」


「うん……」


 自宅に戻ると、里奈と色々なことを話した。学校だったり、ゲームだったり、配信の話だったり。


 僕がyouだと知った時は嬉しさ反面、見ているのがバレたら嫌われるかもしれないと不安にかられてしまったそうだ。


 以前、僕にyouが好きだと話していたので、しまったと思ったらしい。


「お兄ちゃん、今日は一緒に寝てもいいかな?」


「わかった。じゃあ、毛布持っておいで」


「やったあ! はい!」


 嬉しそうに、それでいて恥ずかしそうにベットに潜り込んで来る。


「どれだけ有名になっても、友達が増えても、私のお兄ちゃんはお兄ちゃんだもんね……そこをわかってなかった」


 悲し気な表情を浮かべ、寝そべりながら僕を見つめる。


 僕は里奈の目にかかった前髪を指でかき上げる。


「里奈は僕の唯一の妹だ。心配しないでほしい」


「……はい。お兄ちゃん、大好き」


「僕も好きだよ。それに家に引きこもっていた時、ちゃんとお礼を言えてなくてごめんね。ありがとう」


「えへへ、嬉しい」


 ぎゅっと近づいてきた里奈は、僕を強く抱きしめる。

 

 家族とのコミュニケーションを知った僕は、これからももっと里奈を大切にしたいと誓った。



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