上がり続ける登録者
翌日のSNS。
『見た? AngelとMIUのコラボ』
『見た見た。てか、youって人誰? 有名人だったの?』
『知らない。無名でしょ。でも、声が温和で、性格も良くて良かった。あと、ホラーゲームの悲鳴が可愛くて萌えた』
『古参だけどyouはいいよ。おすすめ。ちな実写配信はこれhttp:xxxxxxxxxx』
『恰好良すぎわろた。これはモテる。もしかしてAngelとMIUと繋がって……いや、何でもない』
『二人は大手だからそれはない。とはいえ炎上はしないように願う』
『コラボぐらいでガタガタいいすぎ。だが俺のAngelが穢されたらキレます』
『なんにせよ、youの登録者数の増え方がエグいな』
◇
「とんでもないことになった……」
朝起きて気づいたが、通知が永遠と続いている。いやもう携帯がまともに動かないので、パソコンから設定で消したほどだ。
数千人が数万人となり、さらに増加していっている。
ここまで来ると嬉しいというより不安もある。
そして――妹が部屋にやってきた。
「お兄ちゃんっ! AngelとMIUとyouのコラボ見た!? SNSが凄いんだけど!」
「み、見たけど……」
里奈にはまだyouと僕が同一人物だとはバレてはいない。あれ以来実写配信はしていないが、時間の問題だろう。
嬉々として報告してくれるのは恥ずかしいが、身内に認められるのは素直に嬉しいかも。
「youの声、すっごくお兄ちゃんに似てるんだよね……」
「そ、そうかな。よくある声だよ」
「うーん、そうかな? お兄ちゃんってそういえば配信とかしてなかった? まさか……you? 実写配信の時もそっくりだった気がするし……」
「さ、さあ? 学校遅刻するから。ほら、行くぞ」
誤魔化すことはできたが、おそらく時間の問題だ。
いつものように登校し、校門で紫乃と未海が待ってくれていた。
そして教室へ入ると、ちらほら耳にすることがある。
「昨日のVtuberのコラボ見た? バズってるよね」
「見た見た、凄いよねー。噂だとステマだったとか? 新しく大手加入するために話題性だとか」
昨日の話だ。意外にも見ていた人が多いらしい。
◇
「youさん昨日のコラボ凄かったですね。ちょっと寂しいけど、人気になってくれるのは嬉しいです」
「あたしも見たよ! やっぱりyou様の声は素敵だったなー、ホラーの悲鳴も可愛くて……うしし」
「二人も見てたの!? でも、ホラーは苦手で……」
紫乃と未海も見ていたらしい。突然のことだったから伝えていなかったのに、チェックされていたとは。
それから僕のどこが可愛かったとか、楽しかったとか、あの時はこうしたほうがいいという優しい助言まで頂いた。
二人とも妙にVtuberに詳しいんだよなあ。
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