伝説の一夜
「こんにちは、今日はホラーゲームをしようと思います!」
『待ってましたー! you様!』
『youさんの配信キター!』
『ワクワクっ、ワクワクっ』
配信を始めると、次の瞬間にコメント欄がすぐに埋まる。
古参の人たちの名前がすぐに消えていってしまったりすると、なんだか悲しい気持ちなってしまう。
とはいえ、嬉しいことには違いない。
人気になる努力は一応してきたつもりだし、これからもリスナーのために頑張っていきたい。
登録者数は数千人を超えたので、は何か記念みたいなのもしていきたいな。
と、思っていたらVtuber用のアドレスにメッセージが来ていた。
「……嘘だろ?」
見間違いか? もしくは偽物か? メッセージの宛先が「Angel」と書かれている。
『初めまして、VtuberのAngelです。昔からyouさんの配信を楽しんでいる視聴者なのですが、良ければコラボしませんか? お互いに楽しめたらなと思います。それと、もう一人からもメッセージが来ていると思うので、三人でどうでしょうか?』
さすがに嘘だろ? ありえないはずだ。偽物だ。
こんな無名の、それでいて弱小の個人勢(一人でやってる)の僕に連絡が来るなんて……って、もう一人?
ピコピコ、と通知音が鳴る。
メッセージは――新鋭VtuberのMIUからだ。同じように、コラボしようと書いている。
それも三人で!?
ありえないと思っていたが、彼女らの名前をクリックすると、公式ツイッターに飛んだ。
まだ半信半疑だったので、ディスコードのフレンド追加用にメッセージを送ると、秒で二人に承認された。
……まじ?
アイコンは――AngelとMIUだ。すぐにメッセージが飛んでくる。
『こんにちはー! Angelです! この度はコラボのお誘い無茶いっていたのにすみません。話せますか?』
『同じくー! MIUです! 通話しよー!』
高鳴る心臓を抑えつつ、通話ボタンをゆっくり押す。現れた声は、間違いなくAngelとMIUだった。
あれ、でもどこかで聞いたこともあるような……。
「Angelでーす! youさんコラボありがとうー! 人間たちに祝福を振りまこうよー!」
「MIUだにゃー! 三人だったらゲームがいいかにゃ?」
Angelは天使なので、リスナーのことを人間と呼ぶ。MIUは猫耳が付いているアバターで、自身を猫型人間だと言っている。
リスナ―の呼び方は、野良猫だそうだ。
「よ、よろしく! ゲームは僕も好きですけど……本当にいいんですか?」
「もちろんですよ! いつも楽しく見てるので、参加したいなって!」
これから
「MIUも同じだにゃー!」
二人は本当に僕のファンだそうで、今回は数千人突破のお祝いをしたかったらしい。
夢みたいだが、これは現実だ。
すぐにイベントの詳細を告知すると、瞬くまにSNSで話題となった。
登録者数数千人の謎の男youと、100万人超えのAngel、そして新鋭猫チューバーMIUとのコラボ。
一体どうなるのかと期待が膨らむ中、遂にある日の夜、配信が始まった。
――そして、この一晩だけで僕の登録者数はとんでもないこととなり、のちに伝説の一夜と呼ばれるようになったのだった。
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【とても大事なお願い】
ランキング上位を目指しています!
この作品もっと多くの人に知って読んでもらいたいです!
『Angelかわいい! MIUも好き!』
『登録者数どのくらいになったの?』
『ほかのブイチューバーも見てみたい1』
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