バレンタインデーのエージェント
「キミヅカ、チョコを寄こしなさい」
シャルの育った国では男側が渡す文化があるらしい。
俺は仕方なく三十円のチョコ菓子を渡す。
「安いわね、三十円分の絆って」
「俺たちにはちょうどいいだろ」
それも違いないわね、と笑った彼女のその顔を、三十円で見られるのは聖バレンタインのおかげだった。
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