第74話
かわいい…告白…?
「空のびっくり顔、目ぇまん丸でほんと可愛い。あのな、それ、俺のこと大好きーって言ってくれてんのと一緒だから」
「…え…?」
りっくんが僕の手を顔の上から外させる。
「『いいでしょ』って思うのは『僕のだよ』ってことだろ?俺のこと、自慢の彼氏だって思ってくれてるってことだよな?」
うん、って無意識に頷いた。
「それが可愛くなくて何が可愛いんだってくらい可愛いぞ?底なし沼だな、空は」
「え…」
くすくす笑いながら、りっくんが僕を抱きしめてキスをする。
「気付いた時にはもう抜け出せなくなってる。…抜け出す気なんかねぇけど…」
何度も何度も角度を変えて軽いキスが繰り返されて、強張った気持ちが溶けていく。
「…いいの…?いいでしょ、って思ってても…」
キスの合間に訊いてみた。
「思ってて、ずっと…。つか、思っててもらえるように、俺頑張るから…」
啄むように唇を吸われる。
「りっくんは…いっつも、どっから見ても、格好いいよ…?」
なのに、がんばるってなに?
「う…わー…。なにそのきょとん顔。めちゃくちゃ可愛いんだけど」
最後の方の言葉は、吐息になって唇に吹き込まれてきた。
唇を舐められて、ぞくぞくしながら口を開いた。
熱い舌を迎え入れて口の中を舐め回されながら、りっくんの首に腕を回した。
だいすき
「…なあ、空。空のこと抱きたい…。いい…よな?」
耳元で、甘えるみたいに言うの、ずるい。
僕がりっくんの声大好きなの、気付いてやってると思う。
顔がすっごい熱い。
僕はりっくんをじっと見上げて頷いた。
「…ほんと?じゃあ、部屋、行っていい…?」
蕩けるような笑顔って、たぶんこんなの。
僕の返事でりっくんがこんな顔してくれる。
うん、て頷いたら、またぎゅうって抱きしめてくれた。
「やばい…、ちょっと、ドキドキがすごい…っ」
りっくんの胸に耳を当てたら、速く強い心音が響いていた。
覚束ない足取りで階段を昇って、震える手でドアを開けた。
初めてりっくんを部屋に招いた時より緊張してる。
動悸がすごくて部屋が揺れて見える。
ドアを閉めたら、りっくんが後ろから抱きしめてくれた。
「空は…、もちろん初めて…、だよな…」
「…うん…」
それだけの返事が、自分でもおかしくなるくらいぎこちない。
『空は』って言ったってことは、りっくんは初めてじゃないってこと。
分かってる。ベッドにあれ、置いてあったし。
今、解った。連絡先を登録した時のりっくんの気持ち。
…1番がよかった、っていう気持ち。
「…あ、あの…、りっくん…」
りっくんの腕の中でくるりと向きを変えて、広い胸に抱きついた。
「ん?どした?空」
ドキドキしてるりっくんの心音を聞きながら、無茶なお願い事をしようとしてる。
「こ、これまでの、…女の子のこと、全部忘れて…?」
「え?」
唇を噛んで、りっくんを見上げた。
りっくんは戸惑った顔をしてる。
「…りっくんも、僕が初めてって…ことにして…?」
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