第50話
りっくんに触れられて、僕の身体はもう形をなくしそうにぐずぐずになってる。
気持ちいい、とか、そんな生易しいものじゃない。
「…も…だめだめ…っ」
心臓壊れそう…っ、息、息ができない…っ、身体が、腰が熱い…っ
りっくんの首にしがみついて訴えたら、うんうん、ってりっくんが頷いた。
「…俺ももう…。こんな早いの初めてかも…っ」
りっくんの手の動きが速くなって更に追い詰められていく。
限界まで高く盛り上がった波が、一気に崩れていくイメージ。
「…あ…っ」
「……っ」
感じたことのないほどの強い快感で脳が痺れた。
僕もりっくんも、肩で息をしてる。
「はは…っ、すっげ…やば、マジで」
りっくんが片手で僕をぐいっと抱きしめた。
「好きな子のそういう顔、ほんと堪んねぇわ。空、めちゃくちゃ可愛かった…」
蕩けるような甘い声で囁かれて、僕はもうぐにゃぐにゃだ。
「ごめんな、空。ちょっと始末する間頑張って」
慣れた手付きでするするとゴムを外して処理してくれてるのを、ただぼんやりと見てた。
まだなんか、よくわかんない。
身体はドキドキして、頭はぐるぐるしてる。
ズボンのボタンを留めるところまで全部やってもらって、よしよしって頭を撫でられたあたりでやっと色々分かってきた。
は…っずかし…っっ
「うわ、空どした?ピンクになってきてるぞ?」
可愛い可愛いってりっくんが膝の上の僕を抱きしめた。
「あ…えっ…っと、あの…っ」
「恥ずかしいの、今きちゃった感じ?だいじょぶ、だいじょぶ。俺しか見てねぇし」
な?って微笑まれても、どうしたらいいか分からない。
「可愛いなぁ…。ほんっと可愛い。帰したくねぇもん、ほんとは。ずぅっと抱きしめてたい、空のこと」
りっくんが僕を見上げて、大きな手で僕の頭の後ろを押さえてキスをした。
僕はりっくんの首に腕を巻き付けてキスに応じる。
僕も…帰りたくない…
ピピピ…ってアラームが鳴り始めて、びくっとして歯が当たった。
りっくんが僕の口の中をもうひと舐めして、名残惜しそうにゆっくりと唇を離した。
見上げてくる、くっきり綺麗な二重の目をしたりっくんと見つめ合う。
「…タイムアップ、だな」
そう呟いて、りっくんが僕をぎゅうっと抱きしめた。僕もりっくんにしがみつく。
離れたくない
「空、ほら、弁当買って帰るんだろ?」
大きな手が、僕の背中を宥めるように撫で下ろした。
「…やだ…。帰りたくない…」
「…空…」
りっくんが僕の背中を、頭を撫でながらため息をついた。
困らせてる
分かってるけど…
「…うん。俺も帰したくないよ。離れたくないし。でも、な?」
ぽんぽんって、優しく背中を撫でられて、渋々腕をほどいた。
でもやっぱり離れたくないから、手が勝手にりっくんの服を握りしめてしまう。
「あー…、ほんと。マジで、どんだけ可愛いの、空」
片眉を歪めて困ったように笑うりっくんが、ものすごく格好いい。
「可愛い空をいつまでも帰さなかったら、空のお父さんお母さんに怒られちまうからな」
真っ直ぐに目を見てそう言われて、うん、って頷いて僕はやっと、りっくんの膝の上から降りた。
少し乱れている服をきちんと直してくれたりっくんが、最後にもう一度キスしてくれた。
「次は水曜日、だな」
「…うん…」
意識的にゆっくりと呼吸をしながら、りっくんに手を引かれて玄関まで歩いた。
「今ちょうど弁当が揃ってる時間だから」
りっくんが明るい声で言う。…たぶんわざと。
「あ、そうなんだ。何にしよっかなー」
僕も必要以上に明るく応えた。
靴を履いてたらお腹がぐぅって鳴ってしまった。
はずかし…
「かっわいー。そういえば空、昼何食ったの?パフェの写真だけだったけど」
「パフェだけ。なんか他の物食べられる気がしなくて…」
なんで?って顔でりっくんが僕を見た。
「…りっくんに会えるって思ったら胸いっぱいで…」
玄関ドアを開けかけていたりっくんが、ドアから手を離して僕を抱きしめた。
バタンと音を立ててドアが閉まって、ふわっと風が舞った。
「も、すっげ好き、空。好き好き好き。大好きだよ、空」
りっくんがぎゅうぎゅうと僕を抱きしめて、すりすりと顔をすり寄せてくる。
しあわせ
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