第35話
…あ…っ
ふわ…って…した…
薄く目を開けたら、至近距離でりっくんと目が合った。
熱く潤んだ瞳が僕を見てる。
少しでも
キス…した …。りっくんと…。
すごく優しい、マシュマロみたいな柔らかな感触。
「空…」
僕の名前を呼ぶりっくんの唇の動きと息遣いを、唇で感じる。
堪らず目を閉じた。
りっくんが、ふふって笑った吐息が唇を撫でていって、再び唇が重なった。
さっきは触れるだけだったけど、今度は啄むように吸われて、ちゅって音を立てて唇を離された。そしてまたすぐ唇を塞がれる。
息ができない。でも止めてほしくない。
「…空、だいじょぶ?息してる?」
りっくんの言葉と熱い息が唇にかかる。
わかんない わかんない
息ってどうするんだっけ?
涙目になってシャツにしがみつく僕の顎を、りっくんの親指がくいっと押し下げた。
唇が開いてやっと息が吸えた。
「…やっばい、かわいー…、ちょ、ごめん、無理…っ」
りっくんの大きくて熱い手のひらが、僕の顔を両側から包んだ。
耳に指が触れてぞわっとする。りっくんが僕の唇をぺろりと舐めた。
驚いて開いた唇に舌を入れられる。
口の中、舐められてる…っ
唇の内側や口角を舐められて唇を吸われる。
りっくんの柔らかい唇が、舌が、何か甘いものを舐めるみたいに、僕の唇に触れ続けてる。
…キス…キス…ってこんな…っ
舐められて溶けていく。唇も、頭の中も溶けてしまう。
歯列をなぞった舌が更に内側へ。
舌で舌を舐められる、ざらりとした感触が身体の奥の熱を煽る。
膝がカクカクと震えてしまってもう立っていられない。
頬を包んでいた手が背中に回って僕を支えてくれた。
その腕に身体を預けて必死でりっくんについていく。
ついて…いけてる…?
りっくんの唇や舌の動きに合わせて、唇を、舌をぎこちなく動かす。
触れ合ってるりっくんの唇が笑った。
ちゅっ、ちゅって何度も小さなキスを繰り返して、ようやく唇を離した。
息を切らして、りっくんと見つめ合う。
思いっきり抱きしめて抱きしめられて、幸せすぎて苦しい。
「…空、ごめん。ちょっと抑え効かなかった。お前初めてなのに…」
初めてだから、何がごめんなのかも分からない。
それより…
「…りっくん、ぼく、できてた…?」
あれ?なんかちゃんと喋れない。
舌、溶かされちゃったのかな、りっくんに…
「で…っきてた…、っつか、も、やばいやばい…っ、ちょっ待って…っっ」
僕の首筋に顔を埋めたりっくんが「うっわー」って言いながら僕をぎゅうぎゅう抱きしめた。首にかかる息が熱くてぞくぞくする。
「…っくん…?」
「ごめ…、もちょっと待って…っ。もぉマジで、やばい…っ」
りっくんの焦った声にドキドキが止まらない。
「ぼく…へんなこと…、いった…?」
はああー…っていう深い深いため息をついたりっくんが、やっと顔を上げた。
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