あの日本屋で出会った君に私は恋をしました。

三愛紫月

どっち?

私は、毎週水曜日にこの本屋さんにやってきた。

やっぱりいた!

私は、ファッション雑誌を読みながら君を見つめていた。

出会いは、あの雨の日だった。

傘を持ってなかった私は、急いで駅前の本屋に入った。

そして、君を見つけた。

でも、声をかける勇気がなくて…。

私は、君が帰った後に帰宅した。

それから、毎日通ってみたけれど君は、どうやら水曜日にしかいないようだった。


今日こそは……。


明日こそは…………。


そう思っていたけれど……。


声をかける勇気が湧かなかった。


「また、声をかけれなかった」


私は、溜め息を吐いて本屋をあとにした。


『あ、あの……』


突然、声をかけられて振り返った。


「はい」


『あの、好きです』


その言葉に、私は固まっていた。


『迷惑ですよね……。僕はもう』


「死んでますよね」


『え?』


彼は、ビー玉みたいに目を丸くして私を見つめている。


「ごめんなさい。君が、亡くなってるのはわかっていました」


『いつからですか?』


「随分、前からです」


『そうだったんですね。それだけ、伝えたかっただけなんです。それじゃあ……』


私は、彼の腕を掴んだ。


『え?』


「私には、見えるんです」


『あ!そうなんですね』


「あのーー。告白相手間違ってますよね」


私の言葉に、彼は驚いていた。


『あってます』


「じゃあ、聞きますね!君は、私より先に本屋にいましたか?」


『いえ、僕は君を見つけたんです。ファッション雑誌を見ていた君を……』


「それは、私じゃないです」


私が言った言葉に、彼が驚いた瞬間だった。


「お姉ちゃーーん」


私の元に走ってきた女の子。


「ごめんね!今、読み終わった」


「もう!お姉ちゃん、あの雨の日からここが好きだよね」


「そうだね」


私が笑うと、妹かジッーと見つめてくる。


「また、この世のものじゃないものと話してたんでしょ?」


「え?話してないわよ」


「そ!ならいいんだけど……。じゃあ、行くよ」


「うん」


私は、振り向いて彼を見つめる。


『あの、僕が……』


「君が恋をしていたのは、妹じゃないのかな?あの日、私の為に傘を届けに来てくれたの」


『え?』


「双子だから!間違うのも、無理ないのよ」


私の言葉に、彼は驚いた顔をしている。


『じゃあ、僕は……』


「お姉ちゃーーん」


「はーーい」


私は、彼を見つめる。


「あのね!もしも、私でいいって君が言うなら明日またきて!話しは、その時に……」


私は、彼に手を振って、妹の所に向かった。


次の日、私は本屋さんにやってきた。


あの日と同じように雨が降っていた。


きっと、彼はいないかもしれない……。


それでも、私は……。


君に、会いに行く。






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あの日本屋で出会った君に私は恋をしました。 三愛紫月 @shizuki-r

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