相応の罰を

「…あの、それでお話っていうのは…?」

「わかってるでしょ?少なくとも、いい話じゃないのは」


その日の放課後。いつものように文化祭の準備も完了し、みんなが下校する中、僕は彼女を屋上へと呼んでいた。


「あ、あのっ!私、そんなつもりじゃ…」

「つもりがなくても、やったのは事実だ。違う?」

「そ、それは…」


もごもごとして、言葉を詰まらせる。全く、困るというなら、こんなことをしなけりゃいいのに…。


「伊豆奈には誤解を解けたからまだよかったけど、下手したら君は僕らの仲を壊すことになったんだよ」

「あ…うぅ…」

「君は、もし逆の立場だった時、それは本望なのかい?」

「え、っと…」


うつむいて、だんだんと嫌悪感を抱いた顔に変わっていった。

それは、俺と伊豆奈がした顔色と同じだった。


「とりあえず、クラスの子には全員に誤解を解くからね」

「……うん、ごめんなさい」


素直に謝ってくれたところを見て、僕は確信をした。

…今夜も徹夜になりそうだな…。



夜。僕はとある繁華街にいた。

とある待ち合わせと、ある目的の為に。


「よっ!ユーちゃん!」

「あ、どうも。急に呼んですみません」


6人のネッ友を呼んだ。繁華街に夜の11時。つくづく僕はネットに好かれていると感じた。


「どうしたのユーちゃん。俺っちたち呼ぶなんて、珍しいねぇ」

「…ええ、実は、


目が確実に光った。


「……もちろん、何したっていいよ」


僕らはともに笑いを交わした。

彼らをあの害虫の元へ案内した。



「ここです。ちょっとだけ小汚いけれど、オモチャは十二分にありますよ」

「ユーちゃん、グッジョブ!へへへ…」


目が、野獣のそれだった。

気持ちの悪い。どうしてそんなに興奮できるのだろうか。


「侑斗さん、これがメールアドレスです」

「うん。ありがと」


僕は彼女ら名義で、一人ずつある人を呼び出した。

中からは快楽に片足を突っ込んだような叫び声が響いた。



「…こんな山奥に…一体なんだ?」


急ぎの用事だって走ってきたのだが、指定されたそこにはぼろい小屋があった。


「う~ん、なんていたずらだ?」

「いやっ!あぁ!んん!」


ひとまず連絡をしようとした瞬間。中から艶めかしい声が響いた。


「……は?」


その声は、俺の彼女の声。まさか、そんな…。

恐る恐る、俺は小屋の中を覗いてみた。


「おらっ!へへ、無駄にいい体しやがってな!」

「も!やら…やめぇ…ふぅっ!」


…………。

手からスマホが滑り落ちた。力が、すべて抜けた。膝から崩れ落ちた。



3年。



3年間、いかに彼女に見合うようになるかと考えてずっと努力した。髪も染めて、ファッションも勉強して。彼女からはかっこいいって言ってもらえるようになるぐらいにはなれたのに。

誰かもわからない。どこ馬の骨かもわからないような奴に……。


俺はその日。初めて寝取られを経験した。決定的な証拠は、スマホにおさめてショックのまま帰った。

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