束縛?

「あ、ごめん。もう帰んないと」

私は携帯の時刻をみてそうあわてて友達に言った。

「え、もう?」

「今日22時までに帰るって言っちゃったから」

そうあと20分ほどで約束の時間が来てしまう。ダッシュで帰らなければ確実に間に合わない。

「あんたよく耐えられるね。」

「え?、」

私は荷物をまとめていた手を止めた。

「いや、よく束縛に耐えられるなって」

私は目の前で言われた言葉の趣旨が理解できなかった。何を言われているのかよく分からなかった。だって彼は私のことが心配だからいろんなことで私を守ってくれているだけなのに。なんでそんなこと言うの?


「束縛じゃないよ。私のこと心配してくれているだけ」

「いや、ちがうでしょ」

「ちがくない、とりあえず帰るから。じゃあね」

そう言って私はお金をおいて店を出た。

そとは雨が降っていた。なんだか気持ちよかった。雨に打たれている感覚が今の自分とリンクさせる。

 

突然、雨が降ってこなくなった。だけど雨のおとだけは聞こえていた。

「何やってんだよ」

ほら、彼はやっぱり私のことを心配してくれている。


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