逃げられない

「ねぇ、なんで?」

「ねぇどうして?」

「なんであいつといるの?」

「意味わかんない」

「ねぇ」

「既読は5分以内って約束したよね?」

「ねぇ、はやくみてよ」


これ以外にもその他諸々あるが

これにプラス電話が10件以上きていた。

どうしようなんて思っていると彼からの着信が画面に写し出される。

私は反射的に緑のマークを横にずらして耳にあてた。そうするとすぐに


「ねぇ、俺のこと嫌いになった?」


と言う涙声が電波越しで私の鼓膜を揺らした。

この声を聞くと愛されてるだなと実感する。

そんなことを思ってしまう私はこの人から逃れることはきっともうできない。

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