魔法

「じゃあ行ってくるね」

そう言う彼女は今日高校の同窓会へと行くらしい。

本当は行って欲しくない。

だけど彼女の高校生活を聞くと立場上委員長なのどやっていたのと彼女の断れない優しい性格(俺だけに優しくすればいいのだが)により行くことになった。

彼女自身もあまりそういう場所は苦手で行きたがらないが「さすがにこれは行かないと」と言っていた。

「約束覚えている?」

「うん、お酒は一杯まで、男の人とは話さない近付かない。話しかけられたら彼氏がいることを言う、早めに話を切り上げる。日付が変わるまでに帰る。帰るときは連絡してお迎えに来てもらう。位置情報は消さない、携帯の電源は切らない。」

俺が彼女に教え込んだこと。今ではしっかり覚えている。

「そう、ちゃんと覚えているね、何かあったら連絡するんだよ?」

そう言って彼女の頭を撫でると彼女はご満悦ようでにこにこと照れながら笑っている。

「うん、分かった」

「次、服」

そう俺が言うと彼女は一歩下がって俺が今日のコーデをチェックできるようにする。

今日の俺の彼女のコーデは俺の黒のパーカーに彼女のジーパン白のキャップに斜め掛けの黒い鞄。

とシンプルであまり目立たないものにした。(かわいい格好を他の男に見せるわけにはいかないから)

「大丈夫?」

と彼女は俺の顔色をうかがう。俺は

「あーうん、大丈夫。あ、ちょっと待ってひとつ忘れてる」

俺はそう言って自室へいきとあるものをもって彼女のもとへと戻った。

「はい、目つぶって」

彼女は素直に目をつぶる。

俺はそんなかわいらしい彼女に俺の匂いをまるでピータンパンがかける魔法の粉のように上から振りかけた。

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