最後に本屋で買った本は、梅田の本屋で危険物取扱者乙4の参考書。
竜田川高架線
本屋の文具売り場が広くなった。
本屋の文具売り場が広くなった。
だが文具売り場だった場所にどのような本が置いてあったのかは思い出せない。
結局、いつも航空機や艦船の雑誌がおいてある場所を見て、小説が置いてあるところを10分ほど彷徨い、気になったら買って帰るのが日常だった。
駅から出ると、目の前が本屋だった。
住宅街の地元で、大学から帰ってきたときに寄るのが日常だった。
就職して、都会の家に引っ越した。
駅を出ると、コンビニとオフィスビルだけが立ち並ぶ場所だ。
本を読む習慣が薄れて、電子書籍を買うようになった。
本を手に取る感覚が懐かしい。
オススメとか、ランキングとか、興味もなく、偏った種類の本だけが目に入るようになった。
本屋が欲しい。
ただただ、本屋が欲しい。
無数に並ぶ有象無象の本が、ただただ本だけが並んで、運命的に見つけるあの感覚が懐かしい。
平積みされている売れない小説を見つけて、何故か自分にはハマった。作者のツイッターを追いかけたら別ジャンルの小説でウケているのを見つけて、ああ、これの続きは出ないのだな、と察する。
中途半端に都会で田舎な、駅を出たら本屋がある、あの地元が懐かしい。
あの本屋で掛けてくれるブックカバーの柄が懐かしい。
数年前に買った本に掛かったカバーには、系列店が10以上書いてあったのに、最近買った本のカバーには、その半分くらいになっている。それに気付いて、本屋が減っていることを残念がった。あの悲しさが懐かしい。
地元の本屋だから、顔見知りがバイトしていた。その人が居るレジにラノベを持っていくのが恥ずかしくて、ちゃっかり星新一を入れて「ラノベ以外も読みますよ」アピールをする。そんな見栄を張った。
森見登美彦はラノベだろうか。
表紙が萌え絵でないので、普通の小説か。
そんなことを考えながら「夜行」を買ったのは、阿呆の血のしからしむるところか。
新宿の紀伊国屋も良いが、地元の本屋も良い。
秋葉原の書泉は秋葉原に行く人間のニーズによく応えていて素晴らしい。
バイト先の商業施設にあった本屋も大きくて、バイト前に本をよく買いに行った。
生活と本屋が直結していたはずなのに。
どうしてかな。
社会に出てから、本屋に行かなくなってしまった。
最後に本屋で買った本は、梅田の本屋で危険物取扱者乙4の参考書。 竜田川高架線 @koukasen
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