第172話 魔道具技師、講師養成2/3
お茶タイムも終わり、まずは寄って来てたワニ魔でリーナのレベル上げ。
カレンがサポートに入ってるけど、少し離れてリーナへの分配魔素量が増えるようにしてるね。
しかもリーナが戸惑わないように、事前にやることを説明してから討伐してるし。
さらには討伐時の破壊矢の大きさや、魔核を狙いやすい位置まで教えてる。
カレンって、子供の教育には最適な人材だと思う。
リーナがレベル5に上がったので、中庭で魔法訓練。
これもカレンが指導。
カレンは自分のレベルが低いうちから工夫して魔法使ってたから、その時のノウハウやコツを話しながらリーナに実習させ、できたらしっかりと褒めてもいる。
リーナは率直に褒められるのがうれしいみたいで、笑顔で実習続けてるよ。
「ねえヒナタ。カレンを魔道具技師見習いの講師にした方がいいんじゃない?」
「そのつもりでリーナの指導を頼んだんだけど、これは予想以上だわ。メイン講師は決まりだね」
「私、あんな風に教えられるかなぁ…」
「カレンをお手本にして、徐々に慣れて行けばいいと思うよ。なんなら、町の子供たちを数名だけ先に受け入れて、実習的に教えるのもありでしょ」
「それいいかも。ヒナタに教わるのがひと段落したら、お父様たちに頼んでみるよ」
「そうだね。今はリーナの魔力が無くなるまでカレンの教え方見てて、次はノーラの魔道具作成実習ね」
「ヒナタが『もっとゆっくり』って言う意味が少し分かったかも。カレンみたいになるには、時間かけるしかなさそうだもん」
「うん、ゆっくり行こう。焦って人に教えても、あんまりいい結果にはならないこと多いから」
「うん、そうするよ」
リーナの魔力量がかなり減って来たので、本日のリーナへの講習は終了。次はノーラだよ。
ノーラの場合、魔道具作りに足りないのは石英抽出とミスリル加工、あと筐体づくり。
ノーラは魔素感知で大抵の魔法は一発コピーできちゃうから、多分一日で終わると思う。
まずは中庭地下二階で石切り場から石英抽出。
やっぱりノーラは一発でできた。
カレンにもやってもらったけど、若干不純物が混じってた。
まあ毎日やれば、すぐ慣れるでしょ。
地下から戻ったらお昼前になってたので、厨房でお昼の用意。
調理はカレンと私だけど、ノーラとリーナにも教えつつ調理実習。
私は卵焼きと錦糸卵の作り方をノーラに教え、カレンはリーナにクレープづくりとソーセージ炒めを教えてた。
野菜類はみんなでカットして、横で茹でてたゆで卵も具材に追加。
卵多いのは私のせいです。すまん。
みんなで好きな具をクレープに詰めながら、わいわい昼食。
意外なことに、錦糸卵がきれいだと大人気。
王都では卵焼きも無いらしく、リーナは甘めの卵焼きに驚いてた。
お茶しながらの食休みも済み、三階に戻って各自のお部屋の整理。
しばらく私も泊まり込むつもりだから、私の部屋もあるんだよ。
でも、私に割り当てられた部屋に入ったら、なぜか大きな木箱が三つも積んであった。
中開けてみたら、寝具や服、生活雑貨が入ってた。
ノーラに聞いたら、これ、私の分らしい。
私、お泊り用に毛布や着替え類持ってきたのに…。
どうも王子様と領主様が、私が泊ってくれた方が安心だからと、勝手に荷物に追加したみたい。
こんなの用意しなくても、みんなの安全のために泊る気だったのになぁ…。
まあ、娘を心配する親心だから、ありがたく使わせてもらおう。
お部屋のセッティング終わったら午後三時。
なぜかみんな私の部屋に集まって来た。
ああ、夕方近付いてきたから、一人だと心細いのかな。ここ、魔の森の真っ只中だもんね。
暗くなって魔物に囲まれた状態でのお風呂は怖いだろうからと、明るいうちにみんなでお風呂に入った。
お偉いさんやお客様用に、お風呂大きめにしといてよかったよ。
なんとか四人で入れたから。
でも、みんなの部屋も同じレイアウトなんだけどね。
お風呂ではリーナが魔道具シャワーと魔道具蛇口に興奮した。
お城の大浴場には魔道機械の湯沸かし器があるらしいけど、お爺様の部屋にも付いてない物が各部屋にあると大絶賛。
あの、お爺様って国王陛下なのでは?
……ここの設備、ちょっと過剰なのか?
リーナはドライヤー魔道具、クーラー魔道具でも感激してた。
どうして厨房ではこうならなかったのかと考えたら、普通王族は厨房なんて入らないから、設備に違和感感じなかったんだね。
厨房には、水道、コンロ、オーブン、換気扇、冷蔵庫の魔道具あるから、夕食前に説明しておこう。
ここの厨房は一般的じゃないから、あれを普通だと認識したら困るからね。
夕食づくりに厨房に降りて、カレンに一般的な厨房との違いを説明してもらった。
リーナ、魔道具の便利さを再認識したらしく、目がキラッキラだった。
夕食はパンとホワイトシチューとサラダ。
ノーラとリーナは具材のカットとサラダ担当。
私はシチューのかき混ぜ役。魔法、便利。
私がシチューにパンを浸けて食べてたら、リーナが『そんな食べ方していいの!?』と真似し出した。
うん。一緒にお風呂入って親近感上がったからか、だいぶ言葉使いが崩れて来たね。
カレンに『このメンバーの時だけですよ!』と、白い目で見られた。
シチューを吸ったパン、おいしいよね? 私、大好きなんだけど…。
あ、はい。他ではしないから睨まないでカレン。
みんなでお片付けしてたら、またワニ魔寄って来た。
リーナはレベル6になった。
討伐済んだので、今度は工房に移動。
今から魔法陣の製作実習です。
ノーラはもう魔法陣作れるので、実習はカレンが対象。
カレンはノーラみたいに一発で作り方読み解くなんてできないので、まずは私が作り方を見せます。
次に私が作った魔法陣に魔力を流してもらい、魔法陣の動作を体感してもらいます。
何度か同じことを繰り返したら、カレンにも同じ魔法陣を作ってもらいます。
最初のうちは歪な魔法陣ができて効力も悪いけど、その歪な魔法陣を土台にして再度魔法陣を作ってもらえば、徐々に効率のいい魔法陣ができるよ。
カレンの魔力が四分の一くらいになったので、本日の実習は終了。
たった一時間ほどで完全にできるなんて思って無いから、しばらく続けてもらう予定です。
カレンの実習してるうちに夕方になったので、カラ魔寄って来たね。
私たちの正確な位置は分からないみたいで、屋上あたりをあちこち飛び回ってる。
こりゃ、窓際では眠れそうにないね。
…窓際にベッド配置してたの、私だけだったよ。
カレンに『わざとなの?』って聞かれて、初めて気付いた。
リーナもカレンに指摘されて、ベッドは窓から一番離れた位置に配置したんだって。
西砦では奥まった部屋で寝てたし、私のおうち、カラ魔来ないから気付かなかったよ。
初めてカラ魔見たリーナが怖そうだったので、今日はみんなで寝ることになった。
ワニ魔の罠みたいに隔離されてないし、自分の寝る部屋のすぐ近くに魔獣がいるのは、慣れが必要かも。
結局、私の部屋にカレンのベッド持ち込んで、ベッド二台くっつけました。
うん、完全に女子会のノリ。
かなり夜更かししてしまった。
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