第118話 武装集団(笑)
でも、この状況は想定してなかったな。
魔獣三十対武装集団二百なら、普通は被害出しつつも魔獣は殲滅されるでしょ。
なのに、武装集団は散り散りに逃げまどってる。
あ、東門が開いて兵士さんたちの集団が出て来た。
兵士さんのフォローのために、こっそり監視塔の屋根の上に飛んでおこう。
うわ、武装集団、町の方に逃げ始めた!
武装集団(笑)から町までは数百メートルあるから、まだ町の兵士さんのところには魔獣来てないけど、あれじゃ魔獣を町に呼び寄せてるじゃん!
しかも魔獣全然減って無いし!
何なのこいつ等。兵の恰好した一般人の仮装行列か!?
おいー! 指揮官が先頭でこっちに逃げて来てる。アホか!!
出て来た兵士さんは、半分が東門前を守り、もう半分が東門を囲うように半円状に展開してた。
その半円状に展開してた兵士さんたちが、前進して間隔を広め始めてる。
うわぁ、(笑)集団を半円内に収容して守るつもりみたい。
町に魔獣引き連れて来たやつらなのに、守っちゃうんだ。
私なんかより、よっぽど倫理観強いね。
それとも魔物討伐兵としての義務感か?
顔見知りの兵士さんたちが怪我するのは嫌なので、こっそり援護射撃しよう。
おお! 兵士さんたち、みんな盾と剣をうまく使って、破壊矢で魔獣を討伐してるぞ。
かなりいい動きになってる!
魔獣約三十対兵士さん約三十。
ほぼ同数なのに、一方的に魔獣倒していってる。
すんません。その魔獣、元は私が引っ張って来ました。
でも言い訳させて。
(笑)集団が殲滅すると思ってたし、万一町方向に行きかけたら、デコイ使って森に誘導して倒すつもりだったの!
まさか(笑)集団が自身を釣り餌にして街に誘導するなんて、思ってなかったんだよ!
私が罪悪感に苛まれてる間に、魔獣は殲滅されました。
私の援護射撃、必要無かったよ。
本職の兵士さんって、連携すばらしいな。
最初に門近くにたどり着いたオオ魔たち先頭集団を破壊矢で討伐し、手の空いた兵士さんが他の兵士さんの戦闘をフォロー。
魔獣を倒せば倒すほど魔獣一体に対する兵士さんの数が増え、戦闘がどんどん楽になっていく。
ボッチの私には無い技術だね。
ん? あれれ? (笑)集団を武装解除して縄をかけてる。
あ、反抗的な奴は盾で殴り飛ばしてるし。
やっぱり町に魔獣を誘導したことに怒ってるんだね。
兵士さんの合図で東門が開き、見習いさんや平服着た人たちがぞろぞろ出てきた。
ああ、きっと医師や看護師なんだね。
倒れた(笑)集団を、二人一組になって確認に回ってる。
東門前に逃げ込めた(笑)集団は百人ほど。
残りはあちこちに倒れ伏してる。
魔獣の七倍近い兵力持ってたのに、まともな戦闘すらせずに町に逃げ込もうとするなんて、普通ありえないでしょ。
私の当初の予想では、怪我人出しながらも魔獣は殲滅されるけど、大集団で町の近くに魔獣を呼び寄せた責任が発生して、代官有利になるかもと考えてたの。
なのに結果はこの惨状。
やっばいなぁ。結構死人出てるよね。
しかもみんなの仕事、増やしちゃったし。
これは、犯罪者確定の土下座案件かも…。
でも捕まった奴らいるから、今すぐ姿さらして謝りに行くわけにはいかないよね。
明日砦行って、ガイに謝ってから身の振り方相談しよう。
こっそり飛び立って、おうちに帰りました。
おうちに着いたら午後三時回ってた。
お昼食べてないからお腹空いてきたけど、なんだか作る気力が無い。
残ってたパン食べて、お風呂で反省会。
今日は思いっきりやらかしちゃった。
私に理不尽が降りかかりそうになると、思考が短絡的になりすぎる。
はっきりと敵対したなら理不尽撥ね退けるために命を奪うこともやむなしだけど、今日は容疑の段階で排除に動いちゃった。
一応代官様に迷惑が掛からないように魔獣による襲撃にはしたけど、予想外にいっぱい死んでるよなぁ…。
人を殺す覚悟なんてこの世界で生き抜くと決めた時にしちゃってるけど、仲良くなった代官や兵士のみんなに迷惑かけるのはなぁ…。
今回の作戦は、今考え直しても、あれ以外思い浮かばない。
あのまま見て見ぬふりしたら、きっと兵士さんとあの集団の争いになったはず。
そうなると、兵士さんの圧勝であっても、宰相の命を受けた兵を妨げたという代官の責任問題は出てくる。
もし代官があの集団を町に入れたとしたら、今度は私を他国に向かわせないように協力するという第二王子の約束を破るっことになって、やはり代官の責任問題だ。
だめだねこれは。
いくら考えても答えは出ない。
今後の事態の推移を見守るしか無いね。
とりあえず、みんなの仕事を増やしちゃったことについては、明日砦に行って謝ろう。
お風呂出て、パンのストックがなくなったのでパン生地づくり。
焼き上がったら夜になってた。
匂いの誘惑に負けて、厚焼きバタートースト作って食べてから寝ました。
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