第64話 色々と実験始めました
うにゅ、多分朝。
いまいち昨晩の疲れが抜けきってないな。
お風呂パスしたのが敗因か?
いいじゃん!!
疲れ吹っ飛んだ。
朝もやに佇む貴族の館っぽい洋館。
全景見えると趣きあるなぁ。
凹型の左右の出っ張った部分は正面を弓型にせり出させて、ちょっぴりおしゃれな外観。
せり出した最上部(三階に当たる部分)はルーフバルコニーにしてあるので、立つとなんだかお姫様気分(なぜだろう)。
中身全くできてないから住めないけど、これが私の自宅だと思うと、めっちゃテンション上がる。
もう少し眺めていたいけど、お仕事行かなくちゃ。
後ろ向きに飛んでおうちの遠景眺めてから一気に加速。
砦に到着。
いつものごとく日報受け取り、荷車フライト。
監視塔着いたら結構人がいた。
兵団長のディートリヒがいたので、挨拶して話を聞いた。
なんと、七歳の男の子(カイル君)を砦に向かわせるらしい。
だから兵団上層部が見送りに来たそうだ。
七歳を砦に送る理由を聞いたら、カイル君の父親、前回の魔物圏拡大で命を落とした兵士さんだった。
元々父子家庭だったためにカイル君は親類に預けられたものの、あまり居心地が良くないらしく、兵舎に住み込みの手伝いで雇って欲しいと直談判に来たそうだ。
父と共に討伐兵になるのが夢だったから、どうせ兵になるなら今のうちから兵舎で働きたいと、兵舎に駆け込んできたんだって。
預けられてた親戚もあまり経済状態が良くない家で、話し合いの結果、領で雇うことで話が纏まった。
私が作った年齢レベルアップ相関表を見て悩んでいたディートリヒは、何度かカイル君と面談してカイル君を優先レベルアップ要員に決定したんだと。
確かに七歳のカイル君なら、十二歳の見習い新兵の三十二倍速くレベルアップする。
今の砦は森に討伐に出ない分安全性が高い。
だけどなぁ…。七歳で働き始めるのか。しかも街中より魔物に近い砦で。
やっぱりこの世界、優しくない!
七歳の男の子を砦に送ることに葛藤を覚えつつ、荷車離陸。
え、私? 私は体が五歳なだけで、精神年齢はアラサ…げふんげふん、だから例外だよ。
最近人と話す時に幼女ムーブが演技じゃなくなってる気がするけど、精神は成人…のはずだもん!
カイル君が荷台で歓声上げてるのが、どうにもやるせないな。
砦に着いて朝食タイム。
手紙にも書いてあるだろうけど、食べながらカイル君のこと報告した。
ガイも渋い顔してる。
緊急案件はカイル君のことだけだったみたいで、今日の私のお仕事は終了。
おうちに向けて飛び立ちました。
おうち到着して、今からは実験タイム。
先に下水施設作れ? そのための実験です。
まず、残ってる石材持ち出して、くり抜いて石の入れ物にします。
次に魔法で水を入れたら実験準備完了。
では、実験スタート。
まずは破壊矢を、ゆっくりと水に浸けていきます。
ああやっぱり。
破壊矢浸けた部分の周りが、ごぼごぼと沸き立ってるように見えます。
でも、沸き立ってるように見えるのに、蒸気は全く出てないし水温も変化無し。
ソフトバリア展開して、ちっちゃな火を近づけたら、一瞬だけ大きな炎が出た。
破壊矢、多分水分子を酸素と水素に分解しちゃってる気がする。
破壊矢に触れた水が酸素と水素に分かれ、気体化して急激に膨張したことで、沸き立つように見えたんだね。
…おっきな破壊球を池にぶち込んだら、きっと火花一つで大爆発起こすな。
いや、ぶち込んだら水中で気化した酸素と水素が膨れ上がるから、火がなくても水蒸気爆発かも。
どっちにしても爆発か。怖いな。
続いて次の実験。
今度も破壊矢っぽく見えるけど、魔法のイメージが違います。
ゆっくり浸けると、先ほどみたいに沸き立って見えるのは同じだけど、今度はガンガン蒸気が出てます。
でも、蒸気っぽいけど熱くないし水温も変化無し。
これは、分子同士の結合剥がされて、表面張力無くなって霧化しちゃったか。
今回使った矢は分離矢。
くっついてる分子同士を、強制的に離す魔法です。
だから石に当てると、当たった部分が粉になります。
さらに続いて、今度は泥団子に分離球を接触させます。
よし! ちゃんと霧と粉に分かれてる。
これなら、下水の処理層も簡素化できる。
あとは魔法陣化して処理層への組み込みだな。
いやね、最初は破壊球で汚水処理しようと考えたのよ。
だけど汚水って、多分90%以上水だよね?
元々汚れた水を流すための物なんだから。
で、もし破壊球が、分子を破壊して原子に分けちゃってたらと思ってビビったのよ。
水分子を壊して出た酸素と水素の混合気体なんて、爆発しろって言ってるようなもんだよね。
だから単分子にできないかと思って実験したわけですよ。
単分子になれば水は霧に、他の汚物はサラッサラの粉になるんじゃないかと目論んだわけです。
私って、石材から石英分子だけ抽出して石英ガラス作れてたから、行けると思ったのよ。
よし、次は魔法陣化……まだ魔法陣のでき方解明してなかった。
そこからか。…頑張ろう。
まずは仮説立てよう。
魔法陣ができてたのは、魔素を放つ私と魔法が現象として発現する対象物の中間地点の地面。
見た目は溶けた石英が繋がって固まったように見えた。
私という魔力を放つ者がいて、私の魔素干渉圏内に放たれた魔力を現象が発現するように組み換え、対象に現象が発動する。
魔法の仕組みをこう考えると、魔力が現象に変換されるプロセスに反応してできたのか?
反応したのは地中の石英?
石英抽出した時は、石英自身が発動対象だったから反応しなかった?
それとも、反応が微弱で、何度も同じ魔法を発動しないと魔法陣の形を成せない?
じゃあ実験してみよう。
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