第24話 東の平原
時刻は午前一時。
昨日早寝したからこんな時間に起きちゃった。
でも、ぐっすり眠ったおかげで頭すっきり。
よし、五時間討伐してそのあと仮眠しよう。
あっれ~? 魔獣が少ないな。
今日は最初から城壁前で討伐してるんだけど、なんか魔獣の集まり悪い。
連日いっぱい討伐してるから、ひょっとしてこの近辺の魔獣密度、さすがに減ってきたの?
次のレベルには一万六千ネズ魔以上討伐しなきゃいけないから、レベルアップさらに遠退いちゃうなぁ。
まあ予定してたレベルは超えたから、そろそろ本格的に東の平原に行くべきなのかも。
最初は半年近くこの砦に籠ってるつもりだったけど、魔獣が減って来ると、また犯罪者が根城にしようとしたり兵士が調査に来たりしそうだよなぁ…。
よし、今日は朝仮眠してから、東の平原を偵察しよう。
時刻は午前九時。
三時間仮眠したので、五時間討伐の疲れは抜けたね。
よし、東の平原に出発だ。
…なんかね、飛行速度かなり上げられる。レベル上がったからかな?
でも、スピード上げると風圧がすごい。
顔がスカイダイビングしてるみたいになる。
風防代わりにバリア魔法展開したら、常に前方から風が当たってるからか、結構魔力喰う。
だからちゃんとした風防魔法作りました。
固くて透明な、ロケットの先端みたいな形状をイメージして前部に展開。
うん、顔が変形しなくなった。よしよし。
平原近くまで来たので、高度を下げて森の中を飛行。
森の出口手前で着陸して、監視塔らしきものの様子をうかがいました。
うーん、よく見えん。望遠鏡作ろう。
魔法で大小二つの水球を作り、空中でレンズの形状にして位置調整。
逆さまだけど、ちゃんと拡大されたよ。
…やっぱり森の監視塔みたい。
塔の上、兵士さんっぽい装備の二人が、こっちの方を向いてる。
塔の下には森から出た未舗装の土の道が、塔の前を通って城郭都市方向に続いてる。
その城郭都市は――
うーん、あんまり大きくはないかな。
高い城壁あるから中は見えないや。
城門は前には多分兵士さんが二人立ってるから、私が入ろうとすると見咎められるかも。
城壁前には畑っぽいのが広がって、あちこちで人が動いてる。
さて、どんな接触方法がいいか考えなきゃね。
1.普通の幼女として、歩いて監視塔に行く。
森から歩いてくるの見られるから、素性は疑われるな。
幼女が森で生存してたんだから、下手すると人外扱いされるかも?
うまくただの幼女として保護されたとしても、孤児院とか養子とかで自由な一人暮らしなんて無理だろうな。
2.飛んで行って、魔法での戦闘力があると示す。
貴族いるだろうから、いいように使われる可能性あるな。
人のいい貴族だったら…そんなのいるのか? 平民は貴族に従うのが当たり前の世界だから、どんなにいい人でも使われるのが当たり前だよな。これも自由無いぞ。
戦闘力のある森の住人が買い物に…うぉい!! 待て待て私! のんきに住民との接触方法考えてる場合じゃないぞ!!
そもそも私はこの世界でどう生きてくんだ?
まずこれが決まってなきゃ、状況に流されてくだけじゃん!!
よし、しっかり考えよう。
一番の希望は日本に帰ることだけど、現状では果てしなく無理っぽい。
たとえ帰れたとしても、作り変えられたこの身体が地球環境で生存できるかどうかもわからないし。
じゃあ二番目は?
封建社会に身を置かず、自分の自由意思で生きて行きたい。
うん、とりあえずはこれだな。
これが実現できるような環境は……。
生活物資が要るから町の近くがいい。
でも誰かの領地に住むと、当然領民として領主に従わなきゃいけなくなる。それはやだ。
じゃあ領地外に住めばいいから……魔の森か。
それだと砦がいいけど、放棄されたとはいえあそこは領主が建ててるはずだから、見つかったら文句言われそう。
なら町の近くの魔物の森に自分で家を…ああ、夜に魔物集まって来るから、町の近くだとこれもクレーム来るな。
結局は町に影響が出ない程度の森奥か。
じゃあ森奥に家建てて住んだとして、生計はどう立てる?
自力で生活物資全部作るなんて無理だから、現金収入は必要だ。
でも稼ぎ方は焼き付けられた知識には無いから、これは人と接触して色々と情報得てから考えるしかないな。
そうすると、まずは自宅建築場所探しと仕事探しか。
よし、監視塔の人に領外の人間として接触して、いろいろ話を聞いてみるか。
領民になる気は無いから、捕まえられたりしないように、力は隠さない方がいいな。
でも、警戒度下げてもらうには幼女らしくした方がいいか。
うん、飛んで行って幼女の言動で話してみよう。
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