第23話 魔人村、討伐


疑問は尽きないけど、どうするべきか…。

今私がいるのは、村から300mくらい離れた高い木の上。

あいつら動かないってことは、奴らの感知圏外ってことだと思う。


あいつら怖いけど、経験値的にはかなりのボーナスなんだよなぁ。

でも昼間だから、近くだと顔見えちゃって余計怖いよなぁ。

……よし、一人(一匹?)ずつ誘い出して、木の上から狙撃しよう。

じゃあ、ゆっくり近づいてみよう。


へ? なんで一番近いのじゃなくて二番目が反応するの?

一番目は動かないのに、二番目が外に出てこっちに走って来る。

さっさと木の上に戻って、狙撃位置キープ。


やっぱ魔人早いな。原付くらいの速度出てるぞ。

よし、破壊矢う〇い棒サイズ発射!


ぎゃー、避けられた!

ちゃんと誘導したのに、それ以上の速さで顔ずらしやがった。

こっちの位置ばれてるから、遠いと破壊矢見て避けられるのか。


なんて考えてたら、私の横の木の枝切れたんだけど!?

何今の? 魔法? 魔法なの?

木の上じゃ動きにくいから、下降りた方がいいか。

仕方ない、地上でバリア張って、至近距離でミカンサイズ破壊球だな。


……うへぇ~、やっぱ顔怖いぃ。

あと50mくらいだけど、もう撃っちゃえ。

お、当たったぞ。顔ひねって避けようとはしたけど、ミカンサイズ誘導破壊球は避けきれなかったみたい。


じゃあ次だな。

次は最初から地上で迎撃しよう。


おい、今度は二人同時かよ。

50mで攻撃開始だな。破壊球も両手に作って浮かせとこう。

誘導は一個ずつしかできないけど、次弾装填の手間は無くなるからね。


怖いわー、なんで歯をむき出しにして襲ってくるんだよ。吸血鬼か!

はいはい、つぎつぎ。


……魔人討伐終わった。

最後の魔人でレベル上がったよ。

レベル14に上がるまで八千ネズ魔くらいで、未明に二千ネズ魔討伐したとしたら残り六千ネズ魔。

そうするとさっきの魔人は一人九百ネズ魔くらい?

でも、魔人個々で魔素密度違うように感じたし、実際私を感知する距離も違ってた。

魔法使えるやつもいたし、魔人や魔物にもレベルがあるってことなのかもね。


でも残念だな。初遭遇村人がいい人なら接触もありかって期待したのに、いたの魔人だもんなぁ…。

だって初遭遇現地人が重犯罪者だよ! 次の遭遇なんて魔人だよ! しかも三回目は魔人七人だし!!

ボロボロの服しか入ってないけど、お墓、七個も作っちゃったじゃん!!


はあ…。村見つけた時は期待したのに、がっかりだよ。

もう帰ろう。


砦近辺の地形って、北と西は森が深くなる方向だから、これ以上探索しても無駄っぽいな。

南はずーと森が続いてたから、多分魔獣に支配された森だろうし。

砦にあれだけの魔獣が寄って来るっていうことは、魔獣の行動範囲はかなり広いと見た方がいい。

そうすると繋がった森なんて、動物を狙った魔獣たちが移動するだろうから、すぐに魔獣の支配領域になっちゃうよ。


あーあ、望みは東だけか…。

あそこは監視塔っぽいのあるから人はいそうだけど、飛んで行ったら見つかっちゃうよね。

無害な幼女装うなら、平原へは歩いていくしかない。

うーん、めんどい。


砦、ちゃんと帰れたよ。

ワニ魔トレインとか魔人村討伐で時間食っちゃったから、着いたら午後三時前だった。


今日はまた新たな魔法作りたいから、カチカチ棒齧りながら魔法開発です。

開発したいのは、光学迷彩みたいに見えなくなる魔法。

これできたら平原でも飛べるもんね。


まずは試しに手を透明化してみよう。

イメージは手のひらに当たる光を手の甲に迂回させて、手の甲に当たる光は反対に手のひらに迂回させるの。


よし、イメージはできたから魔法発動。

ぐあっ、あ、頭痛い! な、なにこれ?


魔法解除したら頭痛しなくなった。

…今度は指先だけ透明化してみよう。


さっきよりは随分ましだけど、やっぱり頭痛する。

……ひょっとして私の頭の処理能力不足?

よく考えてみたら、透明化ってどの方向から見ても向こう側の光が迂回してこっちに出てこなきゃいけないわけだよね。

たとえ指先だけでも、周囲から当たる光全部をリアルタイムで迂回させるなんて、とんでもない情報量になるんじゃない?


バリア魔法と大差ないように考えてたけど、バリア魔法はエリア内に侵入したものを押し返すだけの魔法だ。

つまり侵入して来た部分だけ処理すればいいわけだから、球状の大半は未処理で済むのかも。


リアルタイムに球表面全体を、しかもどの入射角からの光も迂回処理するなんて……うん、無理っぽい。

私の頭にスパコン並みの処理能力を要求すんな。

要求したのも私だけど…。


ひどい頭痛は収まったけど、なんか頭が重い。

お風呂入って血管拡張しよう。

ああ、お風呂準備して入ってる間に夕方になりそう。

今日はもうおしまいだね。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る