第19話 迷子はやばい

討伐終わったら今日は穴掘り。

どこでも緊急避難場所作れるように、頑張って練習しとかなきゃね。


わおぅ、私、重機になってる。

ショベルカー並みに土が掘れたよ。


真下に2mくらい穴掘って、そこから横穴作成。

横穴は土をどけずに上と横に土を圧縮して、縦1m、横2m、幅1mのかまぼこ型空間作った。

入り口は…土を分厚く固めて、換気用に左右に狭間二つ作るか。

換気がショートサーキット起こしそうだけど、無いよりましだよね。

入り口に魔獣来たら討伐もできるし。


……うん、埋葬された気分。

二酸化炭素って、たしか重くて底に溜まるんだったよね?

この中で寝たら、本当に埋葬になりそう。

こりゃ、あくまで一時避難場所だな。


穴の側面はしっかり固めたつもりだったのに、地上に戻ったら服に泥が…。

お風呂入りたいけど、今日は東に向いて飛行訓練しなきゃ。


適当に泥をはたき落とし、メッセンジャーバッグとナイフ装備してLet's fly。

東に見えた平原っぽい場所に向かって、木の上を低空飛行です。

時速は…ママチャリの立ち漕ぎくらいだから多分20km/hほどか。


魔素感知しながら森の上を飛んでるんだけど、魔物が魔素感知に引っかからない。

なんで? 夜明けまであんなにいっぱい居たじゃん!

……魔素感知って、巣穴の中は感知できないのかな?

これじゃあ日中の森の安全性が分かんないよ。


あ、やっと反応が一つあった。

これ、木の途中くらいの高さだし、形がカラ魔っぽいな。

でも追いかけてこないぞ。

あいつらにも感知範囲があるのかな?


ぽつりぽつりと魔素感知に反応はあるものの、みんな木の途中や上の方。

魔素感知って、多分地中までは感知できないっぽい。


……

………

飛び始めて一時間ほど経過したので、一旦止まって高度を上げてみた。


やっぱり東にあるのは平原だった。

小さくて見えにくいけど、奥の方に城郭都市っぽいのが見えた。

でもまだレベルが充分とは思えないから、今は行かないでおこう。

今日は目的地が確認できたことで良しとしよう。


魔力も三割くらい減ってるし、そろそろ帰るか。


……と、砦どこ? 高度上げても全然見えないんだけど!?

と、とりあえず高度上げたまま反対向いて飛んでみよう。

そうすればきっと見える。うん、見えるはず。


……

………

砦どこぉ…。

……

……危なかった。

残り魔力無くなりそうになって、やっと砦見つけた。


砦に着く頃には、涙目になってたよ!

無計画飛行、ダメ! 絶対!!


砦にたどり着き、魔素吸収してやっと一息。

今回はまじでやばかった。

一番の失敗は、砦と山脈や目印になりそうな物の位置関係を、きちんと把握してなかったこと。

砦探す手がかりが少なすぎた。


砦上空から西の山脈を見た時、『猫の耳みたいな場所あるな』って思ったから、そう見える場所あたりを必死に探したよ。

あれ覚えてなかったら、本気でやばかった。


二番目は、森の中の道は蛇行してるし、上からは見にくいからと無視しちゃったことだな。

道なりにゆっくり飛んでも森を抜けられる魔力量に上がるまでは、飛行練習と割り切って地道に距離を伸ばしていくべきだったかも。


そして失敗三番目は、砦を見失ってパニックになり、無理に帰ろうとしたことだな。

何のために一時避難場所作る練習したんだよ。

魔力に余裕があるうちに、魔獣が来れなそうな場所に一時避難場所作って籠城すれば、朝までもたせられた可能性が高い。

実際途中で崖とか見たから、中腹に穴掘って籠れば魔獣と戦わずに済んだかも。

そうすれば、かなり魔力が回復した状態で余裕を持って砦を探せたはず。


今度はしっかり位置関係把握して、目印見つけながら飛ぼう。

よし、反省終わり!

お昼食べてお風呂入ろう。


ふう~、お風呂でまったり~。

やっと平常心に戻れた気がする。

私、日本ではまず迷うことなんて無かったのは、建物なんかの位置関係を地図とかで把握してたからからかも。

それに、いざとなったらスマホがあるっていう安心感もあった。

こっちじゃ迷子=死亡率激増だ。異世界こえ~よ。


お風呂出たら早速目印探し&位置関係把握。

紙とペンとインクは持ってきたけど、上空だと書きにくいな。

板とか持ってくるんだった。


砦に戻って清書しなおし、一応砦周辺の地図っぽいものができた。

今度東に飛ぶ時は、この地図に目印書き込みながら行こう。


よし、ちょっと早いけど夕食摂って寝よう。

そうすれば、夜中の討伐時間増えてレベルアップするだろう。


異世界転生十一日目の成果:未明討伐した、レベル11になった、一時避難所作る練習した、飛行訓練した、町らしきものを発見した、迷子になった、砦周辺地図作った、お風呂入れた。

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