第18話 夜間討伐
朝、じゃないよ。まだ午前三時ごろ。
昨日、招かざるお客があったことで、私は今後の計画を変更した。
今までは数か月内に森を安全に抜けられるレベルに上げる気だったけど、この場所にいつまでいられるか分からないという危機感を覚えたの。
だからいつここを離れてもいいように、一刻も早く理不尽に抗う力をつけなきゃ。
少しでも早くレベルを上げて、さらに魔物と戦う技術も早急に習得するべきだ。
考えた末、早寝して深夜に起きて、城壁外の魔獣を殲滅することにしたの。
でも、夜にいきなり外に出て魔獣と戦うなんて無謀なことはしないよ。
見張り塔にある狭間(矢や銃を撃つ隙間)を使って、塔の中から外にいる魔獣を倒すつもり。
夜に魔素吸収の瞑想すれば、魔獣がいっぱい集って来るんじゃないかな。
もし討伐しきれない量の魔獣が来ても、夜明けが近ければ何とかなると思って。
オイルランタンの明かり程度じゃ暗闇は見通せないけど、魔素感知で動きを捉えて狙撃するつもりです。
明かりの魔法も使えるけど、目で見ちゃうと恐怖が増しそうだし、なにより魔素感知を鍛えたい。
うわ、魔素吸収してないのに、魔素感知に反応たくさん。
城門罠にかかった数である程度予想はしてたけど、城門の外は魔獣だらけだ。
やっぱりこの砦、危険すぎるな。放棄されるわけだ。
よし、頑張ってレベル上げと討伐技術を習得しよう。
ランタンの明かり届かないから、魔素感知だけで射撃。
うーん、実際に目で見てないと命中率悪いな。
命中率五割ってとこか。
まあ、これも修行だな。魔素感知だけで戦えれば、暗闇でも戦闘可能になるし。
……延々破壊矢撃ち続けてるけど、全然魔獣途切れない。
レベル、二回上がったよ。
でもいいこと発見。
レベル上がると魔力がある程度回復してる。
感覚では、満タンの半分くらいの回復量。
これは助かるな。
げ! 熊みたいなのがいる!
ちょ! 破壊矢、爪楊枝サイズじゃ倒せない!!
魔力マシマシ!! 破壊矢五寸釘サイズだ!
うわ、今度はサルみたいなのまで来た!
こいつも爪楊枝サイズはダメじゃん!!
破壊矢の大きさ撃ち分けるのめんどい!!
…
……
………なんだこれ? なんでこんなに魔獣いるの?
延々倒してるのに、全然魔獣減らないんだけど!?
って、夜が白み始めたじゃん!
うわ! またレベル上がった。
え~っと、確かレベル8の途中からだったはずだから……ダメだ、計算しようとすると命中率下がる。
討伐に集中しなきゃ!
…
はあ、はあ、はあ……。
夜が明けてやっと魔獣退散したよ。疲れたー!
えーっと、レベル8の途中から三回上がるとレベル11。
上がってからもしばらく討伐したから……うそん、ネズ魔換算二千匹近いじゃん!
まあイタ魔で十匹分、オオ魔は三十数匹分くらいだから実際の討伐数はもっと少ないけど、それでも百匹以上は倒したんじゃないか?
…レベル三つも上がったからまあいいか。
疲れたからちょっと寝よう。
遅めのあさ~。
城門罠、今日も盛況だ。
未明にあれだけ倒したのに、いつも通りかかってる。
ちょっとびっくり。
命中率がかなり上がってる。
夜間討伐で延々魔素感知射撃してたからか、目で見て誘導するのがすごく楽になってる。
命中率九割以上いってるぞこれ。
さすがにレベルは上がらなかったか。
レベル12まで、二千四十八ネズ魔だもんな。
明日未明の討伐で上がったらいいな。
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