第6話 生活向上…向上?

さて、罠づくりに午前中掛かっちゃったから、そろそろお昼にしよう。

今日は朝食抜いちゃったから、お腹空いたよ。

今日こそは料理していっぱい食べるぞー!



…無理。中世みたいな台所なんて、幼女には無理ゲーだよ。

壁に掛かってるフライパン、手前が竈だから木箱に乗っても手が届かない。重いから魔法で浮かせられなかったし。

包丁は魔法で取れたけど、まな板台の上が見えないよ。

そして竈の上も見えない。

竈前に木箱の踏み台なんか置いたら、きっと火事になる。

料理してたら足元から火が出るなんて、コントにもならないよ。


結局、カチカチ棒と瓶詰野菜の昼食になりました。

しょっぱいよ。食べ物みんな、保存のためか塩が利きすぎてる。

ああ、温かい食事が食べたい…。


昼食でめげそうになったけど、いい物見つけたから、がんばって作業しなきゃ。

この砦、探索したけどお風呂が無いんだよ。

植え付けられた常識では、この国のお風呂事情って蒸し風呂なんだよ。

しかも出先だと、身体をお湯で拭くだけ。

日本人としては…もう元日本人か。でも、お風呂浸かりたいよね。


さっき台所見てて発見したんだけど、お水が入った樽が、足洗い場みたいな場所の横に、石の台に乗せて置いてあった。

しかも樽の下部に、水道の蛇口っぽい木製のコックが付いてる。

ウォーターサーバーかな?

多分、元はウイスキーかなんかの樽だと思うんだけど、私がすっぽり入る大きさ。


上蓋は置いてあるだけだったから開けて中を覗いたら、半分くらいお水が入ってた。

匂いを嗅いでみたけど、若干木の匂いがする程度。

蛇口から少しお水を汲んで舐めてみた。…大丈夫そう。

少しだけ飲んでみる。…あ、これ多分硬水だ。

少しだけ喉に引っかかるような感じと、微かな苦みがある。

魔法で出した水は無味無臭だったから、このお水は井戸水なのかも。

よし、大丈夫そうだから中のお水を魔法で温めよう。


…あかん。お水に手が届かん。

踏み台木箱50cm+私110cmくらい。樽の台50cm+樽100cm。

中はギリギリ覗けても、奥まで手が入らん。

樽の上からだと、樽内の空気温めちゃうから効率悪すぎる。


……よし、熱湯水球ぶち込んでやれ。

ドボン、ドボン、ドボン、ドボン、ドボン、ドボン……

二十発くらいぶち込んだけど、や、やばい。魔力が切れそうで、めっちゃだるくなってきた。


えっと、樽の容量200リットルとして、半分入ってるから100リットル。

私の熱湯一発1リットル100℃として、入ってるお水が20℃として、40℃まで上げるのに……うげ、三十五発も要るじゃん、無理!


まあぬるま湯にはなってるだろうから、入っちゃおう。

気温25℃くらいありそうだから、多分大丈夫。


……樽に入るのに木箱で階段作った。

そしてお湯は…これお湯じゃない。ぬるいお水。

熱湯をイメージしたけど、熱水球100℃じゃないのかも…。


ダメだこれ、お風呂じゃなくてぬるいプールに浸かってるみたい。出よう。

………樽の中にも階段要るぞこれ。

マッパで樽のふちによじ登るなんて、誰も見てないけど恥ずかしい!


はぁ、とりあえず身体洗ってから、後でお風呂掃除……どうやって?

樽の中に入って掃除なんかしたら、さっき出る時もかなり苦労したのに、お水無かったら多分出られないよ。

うん、棒の先にぼろ布でも括り付けて、樽の外から洗おう。

後で掃除道具探しだな。


お風呂出てからお風呂の掃除道具作って、その後は夜のための準備です。

昨日ネズミ魔獣に齧られたけど、あいつ一匹とは限らないからね。

今晩は武器庫に籠城します。

武器庫は窓無いし、扉も頑丈で隙間も狭いからね。


木の長椅子を魔法併用してズルズル引っ張って来て、武器庫の中で毛布に包まって寝ます。

でも、長椅子の場所遠かったから、武器庫に運ぶだけで夕方までかかってしまった。しかも汗だくになった。

お風呂、後にするんだった…。


今日の夕食、ジャム見つけたから喜んでふやかしたカチカチ棒に塗って食べた。

…塩ジャムだった。

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