第5話 覚悟と罠づくり
その後私は、武器庫に立て籠って一夜を明かした。
オイルランタンのオイルが切れたので恐る恐る扉を開けたら、外が明るくなってた。
明るくなったことでやっと少し冷静になれたので、昨日のネズミ魔獣について考えてみた。
魔獣は元がネズミであっても、魔獣化すると食料は食べずに人や動物を捕食しようとするって知識にはある。
もし最初からこの砦内にいたとすれば、兵士さんを襲って返り討ちになってるはず。
じゃあ、あいつは外から来た可能性が高い。
やばい。城壁あるからと安心してたけど、どっかに侵入路あるかも。
私は朝食も摂らず、城壁の点検を始めた。
城壁は大きな直方体の石材を積んで作られてた。
その積み石の一つ、地面すれすれのところが、重さで割れたのか石の角に隙間が空いてた。
穴の周りには、真新しい小さな砕石が散乱してる。
ここかぁ~。
狭いけど、向こう側覗けるし。
うーん、どうしよう?
こっち側だけ粘土とかで塞いでも、すぐに開けられちゃいそうだよね。
小石を詰めるにしても、接着出来ないのは不安だしなぁ。
寝てる間に身体齧られるなんて、絶対嫌だし。
よし、砦の資材、漁ってこよう。
えへへ、いいもの見つけたよ。
これ多分小動物の捕獲罠だと思うんだけど、金属製の円筒形で、長さ50cmほど、直径は7~8cm。焼き網を丸めて筒にしたような形状。
筒の片側は蓋されてて、反対側は内側がパーティー用の三角帽子みたいな形状で、切込みが入った円錐形が筒の内側に向いてる。
うなぎの捕獲罠みたいだけど、こっちの世界のネズミ用の罠かも。
これを石積みの穴に合わせて置いて、重量物で動かないように固定しよう。
……重量物なんて、持って来れなかったよ。
魔法使っても、浮かせられるのは水の入ったジョッキ程度だった。
仕方がないので、空の木箱を三つ持って来て筒が動かないように三方向から押さえ、後で木箱に石を詰めました。
これで小型魔獣、捕まえられるかな?
こんな怖い世界だから、ほんの少しでもレベルアップしておきたいんだ。
だって昨晩のあの恐怖、もう二度と体験したくない。
私は一晩かかって覚悟を決めたんだ。
この世界は殺らなきゃ殺られる。
なら、自分の力を少しでも上げて、容赦なく敵を倒せるようになろう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます