第2話 20年前の本屋の犯罪者

 もう時効と呼べるほどの年月が経過したので、昔の本屋で警察を呼んだり、呼ばなかった話をつらつら書いてみます。


 まず、本屋で多いのは万引き。というか窃盗。

 12歳の女の子二人が監視カメラの死角でカバンにコミックを詰め込む事が棚のの空いたスペースを逆再生して見つけた事がありましたが、バッグが二つ隣の服やで盗んだもの。

 お菓子は隣のスーパーの盗品。

 そして、バッグの中の本の半分は、一度盗みに成功してシュリンク(新品の本にかかっている袋。書店が袋を用意して熱で縮ませるのと、限定版とか講談社さんみたいに出版社が最初から密閉しているものの二つがある)を外した商品と、今回盗んだ商品が入っており、この子たちの将来が不安になりました。

 その後、ここにやって来た自転車も盗品と教えられ、プロの犯罪者を捕まえた事で褒められたのを昨日のように覚えています。


 あと、CDコーナーでは販促用ポスターを盗む人間もおり、明らかに怪しい挙動をしていたのでレジからみていると、マジックのように張られていたポスターが消滅。

 犯人は自転車で逃走を図りましたが、まさか店員が単純に走って500mも追いかけるとは思ってなかったようで、ポスターを投げ捨てて逃げた事もありました。


 あと、ちょっとややこしい方法でしたが、今はもうない当店は古本屋さん2件に囲まれていた新品の本を扱う本屋でした。

 なので、換金のしやすさから愛藏本とか映画化作品は良く狙われていたのですが、映画化作品25冊を一気に盗まれた事がありました。

 棚はごっそり抜け、1万5千円くらいの損失確定。


 盗まれたのは10分前。


 ここで普通なら諦めるのですが、普通でないのが筆者。

 本屋に努めているけど買うのは古本屋。用がなくても古本の棚を見ているだけで幸せと言う古本屋のプロ。

 盗まれた本は、BO●KOFFさんよりも、別の古本屋の方が高価買取していたのを覚えてました。

 さらに言えば、新品のまま売れるわけがないので、袋を破ってシュリンクを外す作業に時間がかかるはずです。

 なんのためらいもなく、高価買取をしている古本屋さんに走りました。


 たぶん、奴はそこにいる。と。


 そして行ってみると、盗まれたのと同じ本が買い取りカウンターに並んでおり、事情を説明して買い取り作業に待ったをかけました。

 犯人もまさかそこまで追いかけるバk…執念深い店員がいるとは思わなかったのでしょう。店内から入れ違いで逃げ出し、気が付いたら盗んだ商品を置いていなくなっていました。

 ほんらいなら、ここで身分証明書のコピーや名前を見て警察に通報…なのですが、個人チェーンの店の哀しさ。コピーが鮮明にとれておらず(免許証番号を控えると言う風習はこの時期、BOO●OFFでもやってませんでした。)

名前も読めないようにわざと下手糞に書いてました。

 そのため、商品は取り戻せたけど犯人は捕まらなかったという非常に残念な結果となったので覚えています。

 どこかで捕まってますように。


 他にも、車で逃走しようとしたので、鍵を回す手ごと掴んでひねり上げたり、レンタルビデオの常連客が、アダルトビデオの表紙だけを盗んでいて人間不信に陥ったりとか、当時まだ普及したばかりの携帯電話のシャッター音をならないようにして、立ち読みしている女性のスカートの中を盗撮する奴。

 急に店内で暴れ出し、倒れたかと思ったら覚せい剤を嗜まれていたお客さんなど、思い出は数珠つなぎに流れてきますが、

 売り上げが悪い。と、店長の前でごみ箱を蹴とばして威嚇する2代目ボンボンの管理者と、CDはまだPOS管理をしてなかった(手打ちで処理し、パソコンに売れた商品を入力する)ので、新品3000円のCDを100円で売った事にして販売枚数だけ帳尻をあわせ8年で200万円分内部からCDを盗んでいた人間もいたなあ。と。いまではすべて機械が管理し、パワハラ防止法も出来たので実行できない犯罪などを懐かしく思い出すのでした。


 商品を定期的に盗まれて、夜眠れなくなったり、よく考えたら万引きを捕まえても何の褒賞も出ない(マジでお褒めの言葉もない)のだから、放っておけばいいじゃん。などとおもいながらも、心を痛めた日々から解放されて客商売は二度とやりたくないなぁなどとこの時は考えていたのを思い出しました。


 まあ、次の事務作業は女性派閥がひどかったし、建設現場は言葉の通じない人が多かったし、障碍者支援施設の支援員では管理者が一番言葉が通じないなど、日本は労働に向いてない国であると知るのはそれ以降の事ですが、まあ、昔の本屋もこんな苦労があったという事で筆をおかせていただきます。


 窃盗ダメ!絶対!

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