主人は賃貸人
余はインコなり。余はある日、タイ人の元主人から心優しい大家に譲られた。
大家は賃貸借契約において築50年ほどの木造アパートを職を転々とする元主人のような貧乏人達に使用させている。すなわち、貸主、オーナー、賃貸人というわけである。
大家の家には先住のインコがいた。メスのインコで、名前はぴぃちゃん、年齢は3歳とのことで、体は小さいが元気に鳴いていた。
余は汚れのない純白の羽毛を纏っている可愛いメスインコであるぴぃちゃんを見て、自分がどうしようもなくオスであるということを自覚した。
余が住んでいる籠はぴぃちゃんのお古だった。ぴぃちゃんは『私があなたの賃貸人ってことね』と言う。ぴぃちゃんは家賃として、毎日大家から提供されるパセリの一欠片を要求した。
ぴぃちゃんの性格は見た目と裏腹で、わがままであった。ぴぃちゃんは余に毛繕いをさせているが、大家はそれを見て仲が良いことを嬉しそうに思う。しかし、ぴぃちゃんは余には毛繕いをしてくれなかった。
余は、ぴぃちゃんに憧れを抱きながら、大家の家での暮らしを楽しんでいた。それでも、賃貸契約という現実があることを忘れてはならない。そして、余はいつか自分が賃貸人となる日を夢見ていた。
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