第22話 ステータスを得たら何をしたいか

名前 須磨すま 道次どうじ

レベル1

戦闘力5

気力15

魔導力50

魔力40


スキル

・ナビ・翻訳・魔法学習

称号

魔石破壊者


「これが……僕のステータスか」


 ベッドにごろんとよこになったまま道次が独りごちた。


 魔石を破壊したことで道次はレベルが上がった。その後、ステータスについては頭の中の声がある程度教えてくれた。


 その上でステータスを確認し、この説明がナビというスキルの効果であることを知った。


 だが問題はこれを手にしたからどうなのかということだ。唯一わかったのは道次が壊したのが魔石だったということぐらいか。


 それはナビの説明や得られた称号からわかった。しかしこれらも含めてあまりにファンタジックすぎて頭が追いつかない。


「お兄ちゃんちょっといい……」


 その時、久美子の声が聞こえてきた。道次は一瞬ドキッとするも平静を装ってドアを開け、何? と聞いた。


「綺麗な石が落ちてなかった? 私のなんだけど……」


 久美子の話に道次の心臓が高鳴った。やはり落としたのは久美子だったか、と心のなかで呟きつつ出来るだけ顔に出ないよう意識しながら答える。


「いや。知らないよ」


 勿論嘘だが、その石は既に自らの手で破壊してしまった。それを正直に話すわけにはいかないと思っていた。


 罪悪感はあったが知らないで押し通そうと考えていた。石を壊したことで責任を追求されることを避けたかった。


 道次は我ながら情けないし卑怯だなと思ったが、何よりステータスが見れるようになった事でごまかそうという気持ちは強くなっていた。


「……そう――」


 妹の久美子は俯き加減にそう呟いた。消え入りそうな声だった。


「そ、そんなに大切な石だったのか? 何かよくわからないけどただの石だったんだろう?」

「そんなことないもん! 杉戸くんがくれた石、大事にしたかったのに何も知らないくせに勝手なこと言わないで!」


 久美子に怒鳴られ道次の肩がビクッと震えた。


「お、大きい声を出してごめんなさい……」

「あ、いや。俺こそごめん」


 結局久美子はそのまま部屋に戻っていった。


「まさかそこまでなんて……てか杉戸って誰?」


 そんなことを呟きながらベッドにゴロンっと横になった。心のなかで妹に謝罪しながら同時に名前の相手のことを考えた。


 雰囲気的にボーイフレンドなのか? と考える。まだ小学生なのにもうそんな相手がいるのか、と思いつつも道次は幼なじみの女の子を思い出していた。


 その子は道次にとって初恋の相手でもあり、そして初めて出来た彼女でもあった。


 道次が意を決して告白したのは中学三年生に上がる直前の春休みの事だった。


 勇気を振り絞って幼い頃からの思いをぶつけたわけだが、その結果彼女からもオッケーを貰った。


 どうやら彼女も道次が気になっていたようでそれが道次には嬉しかった。


 この時の道次はきっと将来はこの子と結婚するんだ。運命の人なんだと思いこんでいた。


 だがそれも長くは続かなかった。道次が引きこもり気味になった二ヶ月前、同じく幼い頃から仲が良いと思っていた友人に彼女を取られてしまった。


 しかも友人だと思っていたその男は、悪びれる様子もなく道次から幼なじみの彼女を奪ったことを自慢しマウントまでとってくる始末だった。


『そもそもあんな可愛い子が幼なじみだって理由だけで陰キャのお前と付き合っていたのが間違いなんだよ。ま、俺のおかげで目を覚ましたってことだな』


 それを耳にした時、道次は気が狂いそうになり思わず元親友に掴みかかっていた。


 だが、相手から言われたように道次は陰キャと呼ばれるタイプであり運動が得意で格闘技も齧っているそいつに敵うわけがなかった。


 あっさり返り討ちに会い醜態を晒してしまった上。彼女に振られたからと逆恨みして襲いかかってきて逆にやられたしょうもない奴、と言いふらされた。


 そのことでも随分とメンタルをやられたが、何よりショックだったのは幼なじみの彼女も道次についてあることないこと言い触らすようになっていたことだった。


『本当は付き合う気なかったんだけど断っても断ってもしつこくて仕方なく付き合っていた』

『毎日何度もメッセージを送ってくる上、束縛が酷くてうんざりだった』

『だから今の彼に相談して別れさせてもらったけど、そしたら逆恨みして嫌がらせを受けるようになった』


 そんな話を広げた上、道次に対して、

「あんたがいるだけで目障り。学校にこないで欲しい。陰キャらしく家で引きこもっててよ」

「そうだぜ。お前さまさかこいつと寄りを戻せると思ってんの? そんなの無理だから。それにもうクラスの連中だけじゃなく学年全体にも噂広がってるし。惨めな思いしたくなかったら二度とその陰気な面みせんな」

と容赦ない罵声を浴びせてきた。しかも他の皆っが見ている前では被害者を装い道次の学校での居場所はなくなっていった。


 その日を堺に道次は学校にはいかなくなった。学校に行くと嫌でもあの二人の顔を見ることになる、そう思うだけで気分が悪くなって仕方ないからだった――


「俺は裏切ったあいつらを許せない……そうだこの力があればもしかしたら――」


 過去の出来事を思い出した後、道次は改めてステータスを眺めそんなことを呟いた。


 そして自分が手に入れた力がどんなものなのか改めて考察しようと心に決めた――

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る