第11話 VS勇者

「…なあ、アンドレイ?さん」


と、ここで良介がアンドレイに話しかけた、なになにー。


「…なんだ」


「あんたとその子…どういう関係なんだ?」


なにー?その質問?


「私とおじさんは…まあ師弟関係?」


「師弟関係?」


「うん、そうだよー、良介さん、殺し合いの後和解してねー」


と、そこで良介の顔色が変わる。


「ま、まて!…殺し合い?君がこのおっさんと?」


「そうだよー?」


「な、そんなの…」


「勇者殿!」


「え、あ、はい」


「今は緊急時故そのような話は後で頼む」


ギルマスがそう言う。


「…ギルドマスター、その勇者とやらはどの程度役に立つ?」


とそこでアンドレイがギルマスに問う。


それに答えたのは…良介だった。


「俺はSランク冒険者との模擬戦に勝ったぜ?」


Sランク冒険者ねぇ…どのくらいの実力なのかなー?


「…そうか、ならこの小娘と戦ってみろ」


「…は」


んー?


「あんた何を言って!」


「良介さんー?」


「な、なんだいミナミちゃん」


「私と模擬戦、しよ?」


「き、君まで!?」


いやだって、仮にも幼馴染、この世界で生きる上で強さが必要な以上、その実力は把握しておきたいしねー。


私は良介のほうまでいき、良介の腕をつかみ。


「ね?いこ?」


そう上目遣いでいう。


「う、かわいい…」


「ん?」


「…はぁ、わかった、やるよ、ケガはさせないから」


わー、良介、自信満々だねー?


「…ギルドマスター、勇者を借りるぞ」


「アンドレイ…まあいいさっさと終わらせて来い」


ギルマスから言質をとったアンドレイ。


私はそのまま良介を手で引いてギルドの建物裏にある、訓練場へ向かう。そのあとを会議室にいた面々が付いていく。


「…なかなか広いな」


「ねー」


とりま、さっさと向かいあう、なんせ時間がないからねー。


「…ミナミちゃん…武器は?」


「魔法で出す~」


「そうか、取り敢えず初撃は譲るよ」


わー、強者の余裕って奴?慢心にならないといいねー?


「リょ―かい、こいミョルニル」




―バチバチバチ




放電音とともに私の手に槌が出現する。


「…ミョルニル?」


怪訝な顔をする良介、そんな余裕こいてて大丈夫~?


私は良介に向かって踏み込み…


「…え?」


瞬きの間に良介の目の前に、そして


「てーい」


そのままミョルニルをフルスイング。


「ばぐあっ!」


体を久の字にして吹き飛び、地面に転がる良介。


「な、勇者様が!」


「アンドレイが目をつけていただけはある、な」


「勇者様を一方的に!?あの獣人の娘、何者だ!」


「…ミナミ君、こんなに強いの…?」


私はミョルニルを素振りしながら良介に近づく。


「どうするー?もう終わりー?」


と、良介が立ち上がる。


「…ははは、そんなにかわいいのに、こんな強いなんて…だが、俺も勇者だ!たとえ惚れた女の子が相手だろうと負ける気はない!」


そして、良介は腰に差してあった装飾の施された剣を構える。


「ミナミちゃん、聖剣を使わせてもらう、なにケガは」


「あまいねー、君、私は…殺す気で行くよ?」


まあ、本当は殺す気はないんだけどねー。


私は再び踏み込みミョルニルを振り下ろす。




―ガキンッ!




「く、しかし、反応できる速度だ」


「あーあ」


「な、なんだい」


「良介さん、未熟だねー?」


「…は?」


「放電」




―バチバチバチ




ミョルニルが放電し、その電流が剣を伝わって…


「ががぁ!なに!」


良介は感電し、剣を手放す。


良介の右手は感電した影響かぶらりと垂れ下がっている。


「くっ」


「どうするー?まだやるー」


「…いや、俺の負けだ」


良介が負けを認める。


「勇者様が…負けた」


「あの獣人の娘…何者だ!」


騎士の人たちがうるさいねー。


それを無視して良介の方に向かい、彼の右手に触れる。。


「な、なんだい」


「痛いの痛いの飛んでけー」


そう言いながら起源魔法を使用する。


「一体何を…あ、あれ!右手の痺れがなくなって…動く」


「他に痛たいところとかない―?」


「あ、いや、大丈夫だけど」


「ならよかったー」


そのまま私は良介のところから離れアンドレイの方に向かう。












俺は木田良介、勇者だ。


いきなりなにをって思うだろうがそこはまあ追々。


俺が王国の勇者になってしばらくたったころ、任務で辺境都市ラルトに赴くこととなった。


…そこで俺は運命の出会いを果たした。


美しい獣人の少女、しかも雰囲気がなんだか親友にそっくりだ。


一目ぼれした俺は彼女に告白し…条件付きだがまさかのOKをもらった。


そこまでは良かった、だがなぜか件の彼女と模擬戦をすることになり、結果はまさかの、俺がボコボコにされた。そんな俺をボコボコにした彼女は俺を治療した後、今はアンドレイとかいうおっさんとなにやら話し込んでいる。。


「どう、良介君」


「凛」


「…どうしたの?」


「…あの子にさらに惚れちまった!」


「…は?なんで、あなたドMだったの!?」


「違えよ!…見てただろう、俺を治療する姿…まるで聖女!」


「…あー、もうこれだめね」


「見てろよ!ミナミちゃん!俺、この防衛戦で活躍するから!」


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