第8話 外で鍛錬だー!

「…着いたぞ」


平原を抜け、森にはいって少し進んだ場所にそれはあった。


それは石器時代の集落に似ていた、だが、住んでいるのは人類ではない。


「ゴブリンが、いっぱい」


数日前に見た光景だね。


「…早速だが、先ほども言った通り、あの武器以外で戦ってみろ」


うーん、ミョルニル以外かぁ。


じゃあ。


「こい、グングニル」


そう唱えると、槍が眼前の宙に出現したので、それを掴む。


「…北欧の神話にこだわる理由は?」


「私のモデルがフェンリルらしいからねー、イメージしやすいんだよ」


「…まあいい、行ってこい」


「らじゃー!」


さてと、まずはグングニルと言えばあれだよね。


腕をしならせグングニルを全力で投擲する。


「てりゃー」




―ズバンッ!




グングニルはその勢いで進路上の数十匹のゴブリンを巻き込み、粉砕する。


そして反転するとこちらに戻ってくる。


「よっと」


それをキャッチする。うんうん、上出来だね。


「おい、小娘」


「なにー?」


「そのグングニル、複数出現させて投擲することはできないのか?」


…なるほどー、その考えはなった。


「グングニル…50本くらい出て」


すると宙に大量のグングニルが出現する。


…さすがに一本、一本手で投げるのは…意味ないから。


「そのまま、ゴブリンへ向かっていって」


そう指示を出すと中のグングニルたちがゴブリンの集落に矛先を向け。




―ズバンッ!




投擲した時と同じように飛翔していき…そのままゴブリンたちを挽肉にしていく。


50本のグングニルが通った後は、更地になっていた。ゴブリンの集落など跡形もない。


「…ふむ、試す相手がいなくなってしまったな」


「そだねー」


「…死骸が匂うな、燃やせるか?」


燃やす、かー。


「なら、スルトの炎の剣」


北欧神話で燃やすと言ったらこれだよね。


刃が燃える剣の柄を掴み、ゴブリンの集落跡に振り下ろす。




―ゴォオッ!




ゴブリンの死骸その他もろもろは超高温で一瞬で灰になる、ついでに周りの木々も。


「あ、やば、エーギルの咢」


消化するために水でできた巨大な咢を出現させそれをぶつける。


炎は一瞬で沈下した、さすがエーギルだね。




―パシャ




と、唐突に後ろからシャッター音がする、振りむくとアンドレイが古風なカメラを構えていた。


「…なにしているのー?」


「ゴブリンの集落を殲滅した証拠を撮っていただけだ」


「この世界にカメラなんてあったんだねー」


「ああ、大方、どこぞの転生者か転移者が広めたのだろうな」


へー、じゃあ発展しいてるところだと列車とかもあったりするのかなー。


「さて、まだ時間はある…場所も確保できた」


んー?


「…お前に鍛錬をつけると言っただろう?さっさとはじめるぞ、体術だ」


おう、まさかそんなにがっつりやるんだ、まあいいけど。


「体術ということは、武器は禁止?」


「ああ、そうだ、さっさとかかってこい」


いつの間にか、元ゴブリン集落の真ん中に陣取るアンドレイ


よーし。


「いくよー、てりゃー」


アンドレイに向けて全力で飛び蹴りを放つ


「…」


それをアンドレイは体を横にずらしてかわすと、私の足を掴み、そのまま投げとばす。


「おー、と、と」


なんとか着地、危ない、危ない。


よし、次は殴りかかってみよう!


全力で踏み込み、パンチをアンドレイへ放つ。


「はえ?」


と、気づいたら天と地が逆さまだ。


「パワーはあるが…動きが単調すぎるな」


後ろからアンドレイの声、うーん、勢いを利用して投げ飛ばされたのかな?


さて、次はどうよう、一段階パワーを上げてごり押し、という選択肢もあるけど…。


いや、今は戦闘のプロであろうアンドレイから技術を吸収することを優先しよう。


ということで。


「とつげきー!」


「…いちいち、声に出すな」


それもそうだねー。
















「…そろそろ時間だ、さっさと起き上がれ」


「はーい」


何回投げ飛ばされて地面に転がったかわからないや。


起き上がって服に着いた泥や灰を叩き落とす。


「…小娘、全力ではなかったな…なぜだ?」


「力でごり押しじゃ鍛錬の意味ないかなーて」


「ふっ…まあいい、さっさと帰るぞ」


「はーい」




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