第7話  なんか知らないけど、Dランクになったー!

「おはよう!」


新しい朝が来たー!


アンドレイとの戦いから一夜明け今日から本格的に冒険者稼業の始まり、始まり。


「綺麗にして―」


ちゃっちゃと起源魔法で体を清潔にする、気分は朝シャンだー。


よし、ギルドへレッツゴー。


そのまま宿を飛び出し、昨日と同じ経路をたどりギルドに到着する。


今日は…特に何か事件は起きてないみたいだね。昨日、私が開けた穴はまだそのままだー。


「たのもー」


そのままギルドに入る。


「「「「…」」」」


ギルド内の全員の視線が私に集中する、どしたん?


とそこで、いつもの場所にアンドレイがいるのを発見、そのまま近づく。


「おはよー、アンドレイ」


「ああ、小娘か」


「そだよー」


すると…


「おい…あいつら昨日あんなにガチで殺しあってなのに普通に挨拶してるぞ」


「…きっと強者同士、俺たちにはわからない何かがあるんだろ」


「わからないけど、兎に角、触らぬ神に祟りなし、だ」


「…そ、そうだな」


普通に聞こえているけどね。


話をしていた冒険者のほうを向くとなぜか目を逸らされる、解せぬ。


まあ、いいや、とにかく依頼書が貼ってある、依頼版を見に行こう。


「…あの」


「んー?」


と、こちらに話しかけてくる声、振り向くとそこには受付のお姉さんがいた。


何故かちょっと私から距離を取っている、なぜにー。


「ミナミさん、話が」


「なにー?」


なぜか、さん付けになってるね。


「SSランク冒険者、アンドレイ様の推薦により、あなたはDランクに昇格しました」


なぜか、おじさんのストレス発散に付き合ったらDランクに昇格したよー、なぜに?


「ということでミナミさん、あなたは討伐依頼を受けられるようになりましたので、で、では…忙しいのでここで失礼します」


言うことだけ言って、去ってしまう受付のお姉さん。


うーん、よく考えなくても昨日は暴れすぎたね。完全に怖がられているね。


まぁ、それでなんか知らないけどさっさとDランクに成れたし怪我の功名かなー?


「…小娘」


「んー?何、おじさん」


と、アンドレイが話しかけてきた。


「お前はこれを受けろ」


なぜか依頼書を手渡してくる。


「なになに、ゴブリンの群れの討伐、Dランク、レイド依頼?」


…Dランクだけどレイド依頼って。


「これ、多人数で受ける用じゃないのー?」


「あくまで多人数推奨というだけだ、二人でも問題ない」


んー?


「二人?」


「ああ、俺もついていく」


…なぜ?


「おい、聞いたか、あの二人で依頼に行くらしいぞ!」


「…あの、不動のアンドレが…依頼に行くのか?マジかよ」


「なんで、殺しあった翌日に一緒に依頼にいくんだ?」


「…もしかして、アンドレイさんって、ろりこ…」


「馬鹿、やめろ、殺されるぞ!」


…冒険者たちってなんで毎回リアクションするのかな?


「お前のスキルなら、雷神の武器だけじゃなく、もっと多様な武器や魔法が使えるはずだ、今回はそれの鍛錬だ」


「なんで、私に鍛錬?」


「お前がもっと強くなれば、その分、俺が楽をできるからだ」


なるほどー、でも、アンドレイ、割りと暇そうだけどね?


「理解したなら、さっさと受付にいくぞ」


まあ、何かと丁度いいか。


そのままアンドレイの後を追って受付に向かう。


「ア、アンドレイ様、ご用件は」


アンドレイも受付のお姉さんに怖がられてる、なかーま。


「この依頼をこいつと受ける、受理してくれ」


「…了解しました、受理します、サインを」


「ああ」


そのままサインをするアンドレイ。


「…いくぞ、小娘」


「ラジャー」


私たちはそのままギルドを出て、ラルトの外に向かう。














「久しぶりの外だー」


そのまま門を抜け外へ出た、目の前には広い草原、奥には今回の目的地である森が見える。


「都市の外はすでに魔物の縄張りだ、注意しろ」


おお、冒険者っぽいね。


そのまま歩き出すアンドレイ、馬車とかは使わないんだねー。


しばらく無言で進む、すると。


「お前、西暦何年から来た?」


突然のアンドレイからの問い。


「…2022年だねー」


「そうか」


「おじさんはー?」


「…俺は1981年からだ」


1981年かー。


「じゃあアフガンにいたのー?」


「…なぜそう思う?」


「だってー、おじさん、多分ソ連軍人でしょー?つかってる拳銃、マカロフじゃん」


「…詳しいな」


偶々知っていただけだけどねー。


「…祖国がなくなったのは知っている…2022年では…どうなっていた?」


うーん?


「聞かない方がいいよー」


「…何故だ」


「色々とろくでもないからねー?」


どこの国にも「強い独裁者」ってのに憧れる人はいるけど、あれをみちゃうとねー?やっぱ民主主義万歳だねー。


「…」


それっきりしゃべらなくなるアンドレイ、気まずいなー。

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