第5話 VSイケおじ

目的地の宿についた。


ここはどうやら主に女冒険者が利用する宿らしい。


受付をすまして、部屋に着く。


「わー、結構狭いね」


だけど割と清潔に保たれた部屋だねー。


さて、今日はこれからどうしようか。


「お腹は、何故か全然空いてないんだよねー」


どうなってるんだろうねー、この体。


「お風呂は…ないよねー」


このまま寝るのもなー、不潔だよねー?


…そうだ、こんな時は、起源魔法の出番だ。


「起源魔法、なんか、イイ感じに体と服を綺麗にして―」


すると自分の体がほのかに光りだす。


「お、おおー」


そして光が収まるころには、なんか全体的にさっぱりしていた。


ホブゴブリンとの戦闘で服についた泥も一切きれいさっぱりになくなっていた。


これはすごい。


よしじゃあー、やることは一つ。


「ベッドにダーイブ!」


疲れているし、もう寝よう。


「おやすみー」


そのまま私の意識はすぐに落ちた。












―み、南、お、お前!―


―殺した…?の?―


―なに驚いているのさー、良介、凛―


―これは…正当ぼーえー、だよ?―












朝が来たー。


「うーん、よく寝たー」


ベッドの質は正直アレだったけど割と寝られたね。


「よし、じゃあ、綺麗になれー」


朝風呂ならぬ、朝魔法で体を綺麗にする。朝からさっぱりだ―!


よし、じゃあ、ちゃっちゃとギルドにいっちゃおー。


私はそのまま宿を出てギルドに向かう…確かあっちだっけー?


昨日もらった冊子を頼りにギルドに向かう。


ギルドへの道中は朝早くにもかかわらず、そこそこ賑わっていた。


おー、魚が売ってる、海が近いのかな?それとも川魚?


あっちには野菜が…あれはジャガイモかなー?少なくともイモ類の何かかな?


そんなこんなあっちこっちに視線を巡らせていたらギルドについた。


そのままギルドに入ろうして。


「舐めてんのか!おっさん!」


中から怒鳴り声が聞こえてくる。


…朝から何ごとー?


ギルドに入るとなんか人だかりが。


あ、ジャッキーもいる。


「ジャンキー!」


「その呼び方は…ミナミか」


「みんな集まってどうしたのー?」


「…アレを見てみろよ」


「んー?」


そこには、昨日のイケおじ、SSランク冒険者アンドレイとそれを囲む5人の男。


「なんでも、あいつらの主人の依頼を断ったとかでな」


なるほどねー、だからおじさんに絡んでいると。


「馬鹿な奴らだぜ、外から来たんだと…ミナミ、それ以上近づくなよ、そろそろ、アンドレイが…切れる」


「…へー」


と、5人の男の内一人がアンドレイの肩を掴み


「おい、いいかげんに…」


そう言いかけた瞬間…




―ドバンッ




アンドレイを囲んでいた5人の内4人の頭が弾け飛ぶ


「…あれは」


拳銃?


「ほら、言わんこっちゃねぇな」


アンドレイの手にはいつの間にか2丁の大型拳銃。


「…ひ、ひあ、な、なにが!?」


残った一人の男が尻もちをついて後ずさる。


「…5分だ」


アンドレイがそう呟く。


「お前らは…俺の時間を5分奪った」


「へ、へ?」


「お前らごときがだ…これは万死に値する」


残った男に拳銃を向けるアンドレ。


「死ね」


なるほどねー、人の時間を奪うのは重罪だ。でもねー。


「許してあげたらー?」


「!?おい、ミナミ何を!?」


私を止めるジャッキーを無視して野次馬の冒険者たちの前へ出る。


「…小娘、お前は確か」


「ミナミだよー、昨日ぶりー」


「何ようだ」


「やー、見逃してあげたら?」


「…何故だ?」


「これ以上は過剰ぼーえーじゃない?」


「…過剰防衛か、ふっ、なんとも…地球人らしい生ぬるい考え方だな」


アンドレイは少し笑う、そして。


私の眼前に二つの鉛玉が音速を越えた速度で迫る。


「ミョルニル」


それを瞬時に出現させたミョルニルの放電で迎撃する。




―バチンッ!




迎撃された弾丸が床に転がる。


「わー、問答無用でいたいけなケモ耳美少女を撃つなんてー怖いなー」


「…ほざけ、転生者」


転生者かぁ、じゃあ、アンドレイもそんなのかなー。




「な、なにが!?」


「あの獣人の少女が…アンドレイの攻撃を…防いだ?馬鹿な…」


「おい、あの子って、ホブゴブリンの群れを一人で殲滅したっていう」


「…というか、滅茶苦茶かわいいな」


「アンドレイの攻撃を防いだってことは…やっぱ昨日のアレは幻なんかじゃなかったのか!」


「転生者?」


「おいおい、どうなっちまうんだ…?」


わー外野がうるさいなー。


「…小娘、10秒以内に俺の前から失せろ」


「えー、攻撃してきたの、そっちじゃん」


「…」


「それに…」


「…なんだ?」


「ストレス溜まってるんでしょー、相手になるよー」




―ドバッ




そのままアンドレイへ高速で踏み込み、ミョルニルを振り下ろす。てりゃー。


「!?」


腕をクロスさせ私の打撃を受け止めるアンドレイ、しかし受け止め切れず、ギルドの建物の壁をぶち破って、外へ吹き飛んでいく。


よし、取り敢えず外に出せたねー。


「お、おい、ミナミ」


ジャッキーが恐る恐る話しかけてくる、他の冒険者たちは驚愕の表情を浮かべたまま唖然としている。


「ちょっと、おじさんのストレス発散に付き合ってくるよー」


「…は?」


「よし、レッツゴー!」


そのまま私もアンドレイを追って外へ飛び出す。


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