「一族の恥さらし!」と言われ追放された僕はレアスキル【叡知の魔導書】で無双する~初級魔法一つしか使えなかったスキルが魔石で覚醒し空想魔法を使えるようになりました~
第9話 アルトは魔の森からの抜け出し宿を取る
第9話 アルトは魔の森からの抜け出し宿を取る
はて。女性の胸がこんなにも机の上に乗っかる事があるのだろうか?
両手を
緊張状態が続いたせいか、あまりまじまじと彼女を見ることはなかった。
金髪ロングに綺麗な青い目。ほっそりと、しかし健康そうな顔立ちに、一部を除いた細い体。
改めて見ると巨乳美少女そのものだ。
机と椅子が近いせいか、白い修道士の服に
白い服は体の
手を膝の上に置いているせいか腕と胸が
彼女も少し恥ずかしいのか顔を赤らめ下を向き少しもじもじしている。
だが同時に細い腕が動いて、胸が本来動かない方向へ、右に左に上に下にと、
……目のやり場に困るとはまさにこのことで。
彼女の正面に座った少し前の自分を殴りたい。
「あ、あの……。どこか変でしょうか? 」
顔を少し上げて赤い顔で聞いて来た。
「見ないでください」ではなく「変? 」と少し首を
するとレナは
「この宿の料理はおいしいんですよ」
少し緊張がほぐれたのか話しかけてきてくれた。
「それは楽しみだね」
「ええ。女将さんの料理は
「それは嬉しい言葉だね」
レナがそう言うと違う方向から声が聞こえて来た。
レナが顔を向け、つられるように僕も顔を向けると、良い匂いと共に奥さんは料理をこちらに運んできていた。
確かに美味しそうな匂いだ。
久々にまともな料理にありつけると感じたのかお腹が「ぐぅ~」となって下を向いた。
「そこまで期待してくれいたなんてね。嬉しい限りだよ」
顔に熱を感じながらも、正面からも熱を感じた。
少し顔を上げるとそこにはスープとパンがいくつかあった。
「昼もそれなりに過ぎているから軽めのものを用意したよ。依頼の後なんだろ? なら胃に来ない物の方がいいだろうと思って、スープとパンだけにしてみたんだ」
「ありがとうございます」
「助かります」
奥さんの気遣いにお礼を言う。
僕は魔の森から
「じゃぁ、お食べ」
そう言い残して彼女は去っていった。
目線を戻して料理に向ける。
軽く食前の言葉を唱えてパンを手に取る。
「! 美味しい」
パンをスープにつけて口に入れると、ジュワっと口の中に味が広がった。
携帯食じゃない温かい食事!
一口入れると止まらなくなってしまった。
パンを幾つか食べて、ふと我に返る。
レナの分を取ってしまいそうだった。
危ない危ない。
少し落ち着きレナを見る。
彼女もこのスープに満足しているのか、
そして十個近かったパンは僕とレナの手によって空になった。
「この先どうするかお聞きしても? 」
食後に出された水を飲み、彼女は僕に聞いて来た。
この先か。
今となっては貴族に戻るという思いもないし、ひっそりと生きたいね。
ん~、と考えを
「冒険者をしながら住みやすい場所を探そうと考えているよ」
「そうですか。ならばこの町をすぐに出るのですか? 」
「いや、まだそこまでは」
今の所幾つか町を周ろうとは考えている。
だけれどもここをすぐに
軽く町を見た感じ良い雰囲気だ。
それに冒険者達も、近くに魔の森からの脅威があるせいか強そうな人ばかり。
なら、もしかしたら僕の異常性を隠すのにぴったりかもしれないと思う。
木を隠すのならば森の中。
昔の偉い人が言っていたけれど、本当にそうだと思う。
そう一人考えているとレナが「では」と僕を見る。
「私とパーティーを組みませんか? 」
「パーティー? 」
僕が聞き返すと彼女は大きく
確か彼女は臨時
「私は今各地の教会に挨拶に向かっています」
「言ってたね。その道中のお金を稼ぐために冒険者をしているとも」
「はい。今現在町と町を行き来する生活を送っているわけですが、商人さんの護衛依頼について行く形で移動しています」
なるほど。一番コストがかからない方法で合理的だ。
……、ん?
「確か護衛依頼ってDランク以上からしか受けれなかったような」
僕がそう言うと少し恥ずかしそうにしてレナは説明した。
「一応私。これでもCランク冒険者なのです」
「Cランク?! 」
少し驚き前のめりになると、彼女は苦笑気味に頷いた。
「基本的に回復役として立ち回っていますが、一応護身用の武術も使えるので」
スキルはありませんが、と言いながら違う方向を向き、拳を「シュッ、シュッ」と突き出していた。
……、いやそれは護身用の武術じゃないと思うんだが。
しかしまさかレナがCランク冒険者だとは驚きだ。
恐らくだけど神官としての能力が異常に高いのだろう。
聞かなかったが彼女のスキルは『神聖魔法』でも高位のものと思われる。
レナが僕と出会う前の事を話している時、魔法使いの女に支援をかけようとしたと言っていた。
『神聖魔法: 中級』以上のクラスになると、回復のみならず解毒や解呪、はたまた強化魔法や神聖魔法の付与ができるようになる。
そこからも彼女が比較的高位の神官であることがわかる。
やはり
「なのでこの町を出るまでの間か……、よ、よければその先もパーティーを組んでいただけないでしょうか? 」
少し考えていると
読んだ書物から得た知識を再現できるという僕のスキル
無論神聖魔法も使えたりする。
しかしながら人前でそれを使うわけにはいかない。
恐らく『魔法: 上級』が
人前で使えない以上、彼女と一緒に冒険者をするのは大きなメリットとなる。
ならば——。
「良いよ。むしろこちらからお願いしたいくらいだ」
「本当ですか! ありがとうございます! 」
答えると僕の両手を
その笑顔に少し顔を赤くしながらも手の温かさを大事にした。
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