第5話 周回

 扉をくぐり抜けた先は自分の部屋だった。

 ダンジョンに入る前の場所に戻ってきたわけだ。

 そしてダンジョンの扉はすでに消えていて、代わりに足元に【初心者の洞窟】のカードが落ちていた。


 カードを拾い上げてみるが、ダンジョンに入る前の同じ絵と文字が書かれている。

 使い捨てとかじゃなくて普通に使い回せるのか。

 そう思って普通に壁に突き刺すと最初に使ったときと同じ扉が現れた。


 ふーむ。

 じゃあ周回もできるわけね。

 ちょっとやってみますか、と扉を開けてみると。


 またモノリスの前にカードが出現していた。

 もしかしてこれログインボーナスみたいな?

 攻略するたびにカードが手に入るのはありがたいのかどうなのか。


 ぱっとそのカードを取ってみる。

 そのカードは【召喚師】だった。

 ジョブのカードはダンジョンの入口でもらえる、ということだろうか。

 一回扉を締めて、開けてみた場合はカードは出現しなかった。


 ボスを倒してダンジョンから出たらリセットされるわけね。

 細かい仕様は分からないが多分これで合ってるだろう。


 じゃ、魔石を使って【ニンジャ】を強化して周回するとしますか。



 ■■■



 一時間ぐらいスケルトンをしばいてそこそこの成果。

 ちょっと【ニンジャ】を強化したらスケルトンを《火遁・弾》で確殺できるようになったので周回も楽々である。


 で、その成果はというと。

 【魔石】が10個、【銅の剣】が一枚、【革の鎧】が一枚、【スケルトン】が2枚。

 【さまようオアシス】と【始まりの森】のダンジョンカードが1枚ずつ。

 あと【ポーション】だな。


 この【ポーション】はアイテムカードに分類されるらしく、ジョブ・カードにセットすると1回の探索中に1つ、HPを回復して傷を治すポーションが取り出せるのだ。

 さらっと言ってるけど、普通に瓶ポーションは持ち出せるので潜るたびにポーションが増える。


 やばいカードだと思う。

 一本飲んだらちょっとした怪我の跡とか消えたからね。


 他の人のところにもダンジョンカードが出現しているはず。

 ということは、【ポーション】のカードも当然ドロップしている可能性はある。

 自分だけと考えるのは流石に思い上がりが過ぎる。


 これから社会大幅に変わるぞこれ……。

 手に入れた人が秘匿するにしても公開するにしても、影響は必ず出てくる。


 まあ、あとでちょっと調べてみようか。

 これはまだ変なモノでしかない。

 その有用性は潜った人間にしかまだわからない。


 飯食いながらネットでも見てみるかな。

 ゲームの情報で全然見つからなさそうだけど。

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