2017年10月

 尾崎と連絡先を交換した夜から、三か月が過ぎていた。あれから何度か関本から連絡を取り、他愛のない話をした。時には尾崎から課題についての連絡が来ることもあった。そして、合ゼミで見る彼女には、今でも依然として死が染みついていた。

 どうにかして、彼女の死を取り払えないかと頭を悩ませ、彼女をより深く知ろうとしていた関本だったが、尾崎はどうも意図してか、それともせずなのかは分からないが、他者とどこか一線を引いているような印象を受けた。あの飄々とした物言いはその心理から来るのだろうか。それでいて、関本のように明確に人との関わりを避ける様子もなく、どうにも掴めない女性ということが分かった。それと、やはり尾崎は同じ学科の男子学生を惹きつけるようだった。この三か月で、尾崎が男子学生から言い寄られて、困惑しているのを何度か見かけた。容姿の優れた人間には、きっと自分には分からない悩みがあるのだろう。

 以前の関本では考えられない、他者を知ろうとする心の働き。そんな自分に驚きながら、彼女について考えることは、灰色でざらついた関本の学生生活に確かに色を着けていった。恋と呼ぶにはいささかこじれてしまっているが、しかしそれは確かに、恋を内包していた。

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