01-02 カフェテリア
僕達は、学校にいるカフェテリアにいた。
ちなみに友人の名は藤崎エリオ。詳しくは知らないがハーフだそうだ。
「今年こそ、彼女を作りたい!!」
「……それ、毎年言ってるよ? たぶん、無理だよ」
10年ぐらい、夏休みになるとそう言い始める。でも、それが叶ったことは、見たことがない。それに、彼には、親が決めた許嫁がいる。誰かと付き合うことは、親が黙っているはずがない。
「そんなことはない! 今年は大丈夫だろ。最後の夏だからな」
「いいのか、そんなことして。リノに、言い付けるぞ」
「別に、いいぞ。あんな女に、興味はない」
リノリアール・アズワール。父は有名な科学者で、知らない者はいないぐらい。その娘も頭が良く、この学校では常に主席だ。なんでか知らないが、エリオを監視してほしいと頼まれているのだ。今回の旅行も、付いてきたいようだったけど、忙しいらしく、行けないようだ。操縦も得意で、付いて来てくれたら、僕としてはとても、助かったのだけど。
「夏と言えば、やっぱり海だよな。ナンパしてそのまま、一夜を共に過ごす。これほど素晴らしいことはない」
「あー、そうか……」
僕は、そんなことには興味がなかった。それよりもお金だ。
「そんなことより、お金を集めなきゃならないんだぞ。燃料代だってかかるんだし、海に入るだけでも入場料を取られるんだぞ」
「そんなこと分かってる。現実を言うな!夢ぐらい見てもいいだろうが。ったく、つまんねえ奴だな」
「はぁ、いいよなぁ、金持ちの息子はそんなことが言えるから。将来も安泰だしな」
「ま、そうだな。羨ましいだろ?」
そうだった。こいつはケチを付けても喜ぶタイプだった。
「はぁ……」
ポンッと肩に手を置かれる。それが、腹ただしかったが何も言わずに、カップに入っていた紅茶を飲み干す。ぬるい。なので新しい熱い紅茶を注文することにした。他のお店と違って、学校にあるカフェテリアなので、安い値段で提供されている。
席を立ち、レジで注文した。せっかくなので、デザートも追加しておこう。今日のおすすめはレアチーズケーキのようだ。いいだろう。
注文を終えると、席に戻った。
「聞きたいんだけど、どうやって客を募るんだ?」
「それは、当日のお楽しみっ! ってことで」
「ちゃんとやってくれよ。失敗したら、海になんて行かせないからな」
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