宇宙を旅しよう!

@polonaise

第3惑星 アルステラ

01-01 宇宙旅行の夏

 僕の名前は、星野ほしの宇宙そら


 コスモディア高校に通っている3年生だ。この、高校は人が宇宙に進出したころに建てられたそうで、来年の9月で創立300年になる。後1年遅く生まれていたら、ちょうどキリがよかった。


 そんなことはどうでもよくて、僕が今、気になっているのは来週から始まる、夏休みのことだった。


 今年は、宇宙旅行で有名な第3惑星、アルステラにあるリビータという都市に、友人と言うか、幼馴染の金持ちの息子と旅行することになっている。


 誤解しないで言っておくが、彼の父は勉学に対してはとにかくお金を援助してくれるのだが、遊びなどには一切援助してくれないのだ。


 僕の家もそんなに裕福ではない。


 だから、一番の問題はお金の確保なのだ。


 でも、その対策は、ちゃんと考えてある。


 それは、自分の宇宙船で、旅行に行くことだ。


 いくら、宇宙旅行に行けると言っても、よほどのお金持ちでない限り広い客席に座ることはできない。僕のような学生では、すし詰めのような宇宙船で出発しなくてはならない。とてもじゃないけど、あんなのは、2度と経験したくない。思い出しただけで、気持ち悪くなってしまう。


 で、今回用意できたのは父の船であるDESIREだった。


 父が、学生の頃にアルバイトで買った最初の船らしいのだが、最初に買った船なので、ずっと残していたそうなのだ。


 中古品なので、見たところ少なくとも50年は経っていそうなのだが、長年ちゃんと整備や換装を重ねているので、中身は最新式のものとほぼ、変わらないそうだ。それは、とても助かった。


 宇宙船の形状は丸形で、収容人数は10人程度。部屋は、収納式のベットと小さな机が付いているだけ。それから、シャワー室と娯楽室。娯楽室は、小さいため、せいぜい2,3人が限界だ。後は、キッチンだ。残念ながら、自動でロボットが料理をする機能は付いていない。でも、これで、十分だった。


 宇宙船の問題はこれで解決したのだが、エネルギー代やら食料、宇宙船を停泊する料金やらで、友人と僕の貯金はすっかり底を付いてしまった。なので、お客を乗せることにした。


 これは、友人と話し合った結果、当日、宇宙空港前で募集することにした。


 宇宙空港前で募集するのは、めずらしいことではなく、よく見られる光景だ。空港内でやると罰金を取られてしまうのだ。


 もし、お客が捕まらなかった時は、とても惨めな旅行になってしまう。それだけは避けたいところだ。


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