第41話 さあ始まりましたナスカ対ドラゴン山脈であります勝算はおそらく皆無ですが予定調和などつまらない。頑張れナスカ負けるなナスカと思っていたところ謎の人物が現れました!

「フルタよ」


 ブリッジ国王は古舘に問う。


「はい?」


「この戦い、剣栄ナスカに勝機はあるのか?」


「無いです。ショーン⋯いえ、そしたガンバルデウス指揮官が加勢しても、私が加勢しても国王様が加勢しても足でまといになって負けます。というか戦力がナスカに偏り過ぎてませんか?他に誰かナスカ並に強い兵士は居ないのでしょうか⋯」


「僕でいいかい〜?」

 古舘は国王に質問したつもりだったのだが、別の誰かが答える。聞き覚えのない男の声だった。


「ん?」


 その場に居た全員が声のする方を見る。


「ああ!君がいたか。チャールズ」


 ブリッジ国王の顔は明るくなる。


「こんにちは皆さん。僕、滅多に顔出さないから全員初めましてみたいなものだね」


「忘れてた。そういえば、ナスカより強かったな⋯」


 ショーンKは肩透かしを食らったような反応をする。


「ああじゃあもう君が倒してきてくれ」

 国王は背伸びをしながら王宮へ戻っていく。


 先程までの緊張感がその場から消えた。まるでこの人物が介入すれば万事解決のような反応だ。


 だが古舘はチャールズと名乗る人物にある違和感を感じた。


 まず、寝起きなのだろうか。金髪の髪は寝癖でボサボサだった。


 そして紳士的な対応とは裏腹に、体臭がキツい。なんというか、生乾き臭に汗の要素を足して10倍濃くした感じだ。


 そして、なんだか今もやたら眠そうだ。


 なぜ今までこんなにも強いとされている人間をほったらかしていたのか。そして何故こんなにもこの男は臭いのか。


全然強そうに見えない、と、古舘は思った。


「いやちょっと待って下さいひとつ私から聞いて良いでしょうか」


 のんびり現場に向かおうとするチャールズに対して古舘が早口で問う。


「⋯活動限界がありますか」


 チャールズは眉を上げる。


「誰かから僕のこと聞きましたか?」


「やはり凄いな古舘さんは」

 ショーンKは関心している。

「チャールズ君。説明してやってくれ」


 あはい、と覇気のない返事をするチャールズ。


「実は僕、昔ね〜⋯食人花に睡眠系の魔法をかけられまして。1ヶ月に1日ぐらいの周期でしか意識を保てないんですよ〜」


 なんだかこの男と話しているとこちらまで眠くなってくるな、と、古舘は思った。

 王宮に戻って行った国王も、今ここにいるショーンKも皆あくびをしている。


「もしや⋯媒体と化しているのか?」


 古舘は半目になりながら言う。


「前もそうだったな⋯」

 ショーンK目をこすり、部下の兵士たちもあくびをしたりとやたら眠そうだ。


「ああ〜すみません。それ以来口から眠気成分みたいなのが出てるみたいで、もう向かいますね。ナスカも心配ですし。いってきます〜!」


 意気込んだセリフを吐いた割にのんびり小走りでドラゴンの元へ向かうチャールズだった。


「元からあんなのんびりしてる訳じゃないんですよね?」


 古舘は聞くが、彼がいつから王宮に仕えているのか知っている人間はショーンKを含めて居なかった。


「あれ?戻ってきましたよ」

 ショーンKの部下が指を指して言う。

 見るとチャールズが手を振りながらこちらに向かっている。


「ごめんごめん〜そ〜いえば武器忘れました〜」


 全員がもうこの街は終わりだと思った。

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