王国街崩壊

第40話 古舘一行は城周りを探しに探しやっとの思いでナスカを見つけたのでありましたが時間がありませんので一刻も早くあの忌々しいドラゴンを撃退したいですね!

「⋯なに?なんか用?」

 手で目を拭いながら、ナスカは城壁の角から姿を現した。


「探したぞ!!お前ドコにいたんだ!?」

「ちょっと用を足しに」

「王宮の中にあるだろう!」

 ナスカは冗談を言えるだけの余裕を持ち直し笑う。


 ブリッジ国王も古舘たちと一緒に来ていた。

「ドラゴンが出て街を襲っているんだ!!力を貸してくれナスカ!」

 国王はそう懇願する。


 しかし古舘は確信していた。


 ナスカでは勝てない、と。


 あのドラゴンはどう見てもナスカが手こずったガイコツ騎士より手強い。


 そのうえ古舘の鋭い洞察力を持ってしても弱点を見抜けない。


「強いて言うなら翼だろうか⋯」

 古舘が呟いたのをガンバルデウスことショーンKは聞き逃さない。


「ドラゴンの弱点ですか?」


「そうです。そこに砲弾で風穴空けたり、鋭利な刃で切り落としたり出来れば息の根は止められずとも撃退はできるのではないでしょうか!?」


「被害は今も広がっていく!今すぐ向かってくれ!」


 ブリッジ国王がその言葉を言い終わる前にナスカは疾風の如く飛び出した。


 ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー


 大砲は壊されており、そこら中に焼死体が転がっている。


 ────故郷の村と同じだ。


 あんな惨状をまた見ることになろうとは。

 何十年経っても、頭から消える事はないあのおぞましい記憶。


 ────自分のせいだ。


 ナスカは自分を責めていた。

 自分がこの街にいるから住民を巻き込んでしまった。

 そもそもあの時カーヤをもっと強く止めていれば⋯。

「よくもやってくれたな!お前はここで殺す!!!」

 ナスカは飛びながら城に近づいてくるドラゴンに対して大声で叫ぶ。

 眼をこちらに向けたが、ドラゴンは最初から匂いフェロモンで気づいていたはずだ。


『ドラゴンは狡猾な性格である』


 学所で読んだ埃まみれでボロボロな本にはそう書かれていた。

 獲物ナスカをおびき寄せる為に、わざと無関係の民達を襲ったのか。それとも純粋に破壊活動を楽しんでいたのか。

 書物を読んだ後、被害者になったナスカからするとどちらにしても違和感のない行動だった。

民家はほとんど壊滅していた。

「1人でも多く逃げていれば良いが⋯」

ドラゴンは口内に炎を溜め始める。

あの時と同じ、脳裏に焼き付いている光景だ。

「仲間だけは奪わせない⋯!!」

ナスカは壊滅し、住宅の剥き出しになった柱の上を伝い、ドラゴンのいる方向へ走る。

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