第8話 異世界にもあのアイルトンセナも目玉が飛び出るほどの音速の貴公子が存在し私はその戦い様をこの目に焼き付けたのであります!

 その後もスピードを緩めることなく青の兵士は戦場を駆け回り、ガイコツ達を駆逐していったのだ。


「あっという間に形成は逆転した!なんということだ私の実況どころか動体視力いや音すら置き去りにしていくこの戦士はいったい何者なんださしずめ剣と魔法の世界に君臨した音速の貴公子であります!」


 たちまち青の兵士はガイコツ兵最後のひとり(ひとほね?)を壊滅させてしまった。



「やはりナスカは頼りになるな」

 指揮官は嬉しそうにそう言った。

『ナスカ』というのは兵士の名前だろう。



 ガイコツ兵最後ひとり(ひとほね?)を倒した後、立ち尽くしている。


「青の兵士が…立ったまま動きません」


 先ほどガイコツ兵たちが進軍してきた方向をまっすぐ見ている。



 さきほどまでの戦乱騒ぎが嘘のように、今は風の音と草が風に吹かれるサーサーという音しか聞こえない


は何を見つめているのでありましょうか??」


 指揮官は眉間にシワを寄せていた。


「…親玉が来るか」



 生き残った兵士も指揮官も私も、その青い兵士が見つめる先を凝視していたのであります。


 すると……


 その方から何か近づいてきた。


「馬に乗った人…でありましょうか」


 その者の正体は風貌と先ほど指揮官が口走った内容で古舘はすぐ悟ったのである。


「ガイコツ騎士だ!!!」


 古舘はこめかみあたりの血管が切れそうなほどの剣幕でそう叫んだ。



 いつからか指揮官が古舘を見ているようだ。


「ところであのを着た男は誰だ?」

 問いかけられた兵士は聞きなれない単語だったようで

「すーつ??……ですか……?すーつとは……」

 と、鳩が豆鉄砲を食らったような顔をしていた。


「先程からうるさいと思っていたんだが……でもどこかで聞いた事のあるような声だな」


 続く

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