第8話それぞれが行動に移る

本にはジンについての未来のことが記されていた。

特に目をみはる箇所はジンの魂に別人が入ったということだ。

彼女らはそれを目にして嬉しそうに微笑んだ。

「これなら…好きにしてもいいわよね…」

彼女らはその様な不穏な言葉を口々にして翌日より行動を開始したのであった。


学校に向かうとジャクリーンが僕の下へとやって来る。

「ちょっと来なさいよ」

いつもより冷たい様な言葉使いに少しだけ動揺したのだがそれに頷くと彼女についていく。

「ジャクリーン。突然どうしたの?」

ジャクリーンの後をついていくと彼女は廊下の隅の方へ向かい僕を壁に追いやった。

そのまま現実世界で言う壁ドンをするともう片方の手で僕の顎に手を持っていく。

「ちょ…!」

動揺した言葉が漏れるが彼女は構わずに僕の口元に近づいていく。

が、そこに突然の乱入者が現れる。

「ジャクリーン。何をしているの?」

フランシスが僕らの後を追いかけてきていて注意するような言葉を口にした。

「フランシス。邪魔をしないでもらえる?この状況を見れば分かるでしょ?」

「いいえ。邪魔をします。ジンから離れてもらえますか?」

「離れないわ。フランシスこそ何処かに行ってもらえる?」

二人は睨み合って牽制しあっている。

と、そこに新たな乱入者が現れる。

「そのへんにしておいたほうが良いと思うよ…」

ナターシャはおどおどしたような口調で注意をすると廊下の後ろの方を確認していた。

「ナターシャ。貴女も邪魔よ」

ジャクリーンの威嚇のような言葉にナターシャは首を左右に振る。

「私は…注意したからね…。私は…知らないから…」

そう言うとナターシャはそのままその場を後にする。

「何だったのかしら。まったく邪魔ばかりでうざいったら無いわ」

ジャクリーンの恨みの言葉にフランシスは眉をひそめて口を開く。

「貴女も邪魔なのだけれど?私にその場所を譲りなさい」

二人は睨み合い、今にも戦闘が始まりそうな雰囲気だった。

と、そこにその人物は当たり前のように現れる。

「ナターシャから聞いてきてみたけど。私の兄様に何してるの?」

スピカはすでに杖を構えており二人の言い訳を聞くつもりもないようで即座に呪文の言葉を口にしていた。

「その場に張り付けろ」

その呪文でジャクリーンとフランシスは壁に貼り付けになり身動きが取れずにいるようだった。

「兄様。大丈夫でしたか?何もされていませんか?」

それに頷いて応えるとスピカは壁に貼り付けられた二人に近づいていく。

「兄様に手を出したら許しませんからね?これ以上のおいたは感化できません。分かりましたか?」

スピカは忠告を口にすると僕を連れてその場を後にする。

「兄様。何があるかわからないので今日はもう早退して帰りましょう。皆、何処か様子がおかしいですから…」

スピカの言葉に頷くと僕らは帰宅する。

帰宅するとスピカは突然僕にしがみつくようにして抱きついた。

「兄様。私のもとを離れないでください。ずっと私の傍にいてください」

その安心できるような言葉に頷いて応えるとスピカの頭をそっと撫でた。

「兄様。愛しています」

スピカは僕の目を見つめるとそのまま僕の口にキスをして照れくさそうな表情を浮かべていた。

「スピカ…僕らは兄妹で…」

その様なごまかしの言葉を口にするのだが…。

「兄様。私は何もかも分かっていますから。心配ないですよ」

スピカの訳ありな微笑みを目にして僕の秘密はバレているのではないかと想像する。

しかしながら、そんな事はありえないだろうと簡単に結論づけると軽く微笑んで頷いた。

「それなら良いけれど…」

よくわからない言葉だけを口にして僕らはそれぞれの自室に戻っていくのであった。

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