第66話 訓練と分かれ道の先(2)
特殊警棒が予備の武器としてなら問題なさそうだと確認できたので、通路を戻って第2階層へと向かう。
まずは前回確認できなかった分かれ道の確認だ。
第2階層に入って最初の分かれ道にたどり着き、前回選択しなかった直進の道を選ぶ。
しばらく進むと、扉へと行き当たった。
扉の周囲にモンスターや罠がないことを確認し、ゆっくりと扉を開いて中を確認する。
「広いな」
扉の近くにモンスターがいなかったので静かに中に入って部屋の中を見回す。この部屋は大部屋に相当する広さがあるようだ。
「で、この部屋のボスはトロールか……」
部屋の中心からやや奥側といったところに、ひときわ大きなモンスターがいる。
濃い緑の肌をした3メートルほどの巨大な体躯を持つモンスターで、全身が筋肉に覆われているかのようだ。武器はこん棒のようだが、あの体つきを見るにその威力は相当なものだろう。
しかも、トロールは2体いるようで、周囲にいるコボルトやインプを含めると10体を超えるなかなかの集団になっている。
「さすがにもう少し訓練してからじゃないと厳しいか」
そう口に出して、部屋から撤退することを決める。
トロールがいる集団以外にもコボルトだけのものやコボルトとインプの組み合わせのものがあったが、下手にちょっかいをかけてトロールまで反応されては厄介だからな。
「こっちは行き止まり、と」
通路を引き返し、小部屋へと向かう途中にある2つ目の分かれ道を逆へと進んだ結果がこれである。
分かれ道からの距離も短く、罠も何もない本当にただの行き止まりのようだ。
「しばらくは、第1階層の大部屋と第2階層の小部屋での訓練かな?」
通路を戻り、小部屋へと向かいながらつぶやく。
レベルが上がるか、第2階層の小部屋が余裕をもってせん滅できるようになったら、第2階層の大部屋に向かうことにしよう。
そう結論を出し、小部屋のコボルトとインプを相手に二刀流の戦い方を試してからその日のダンジョン挑戦を終えた。
その日から5日ほど、考えていた通りに第1階層の大部屋と第2階層の小部屋での訓練を続けた。残念ながらレベルが上がることはなかったが、一度だけインプから銀貨が1枚ドロップした。
また、効果のほどはわからないままだが、追加依頼した龍厳さんとの稽古にも行った。
正直、龍厳さんと二人きりの稽古となった水曜日の稽古はかなりきつかった。いずれ自身の糧になるのだと思い込むことで頑張ったのだが、その次にあった土曜日の稽古では美冬ちゃんの存在のありがたさが身に染みた。
美冬ちゃんとの稽古を見ている限り、俺相手の場合はかなり手加減してもらっていることはわかるんだが、いい加減30も半ばとなったこの身にはキツイ。ダンジョンに通うようになって少しは運動不足が解消されたかと思っていたんだが、全然だったようだ。
年下とはいえ、社会人をやりながらあれだけの稽古を受けている美冬ちゃんのことは素直に尊敬する。
まあ、とにかくそんな感じで訓練を重ね、そろそろ第2階層の大部屋に挑戦しようと思っていたんだが、またしても問題が発生した。
ダンジョンの“
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