第30話 力試し(2)
どれくらい時間が経ったのだろうか。スライムたちに攻撃を繰り返しているうちに、気付けば残りはレッドスライム2匹とブルースライム3匹になっていた。
レッドスライムの火の矢はあれから3発受けている。残念ながら個体の識別ができないので2匹のレッドスライムのそれぞれが何発の火の矢を残しているのかはわからない。だが、火の矢の半分を使わせていると考えて良しとしよう。
5メートルほどの距離をあけてスライムたちを向き合う。ブルースライムを前衛、レッドスライムを後衛としたいつもの陣形だ。
ブルースライム3匹が動き出し、こちらに向かって仕掛けてきた。
金属バットを構え、ブルースライムの攻撃に備える。
視界にはブルースライムの後ろで火の矢を詠唱するレッドスライムの姿も見えている。
ブルースライムがタイミングを合わせて3匹同時に飛びかかってくる。同時にレッドスライムから火の矢も放たれたようだ。
右手でバットを振るって右から来ていた2匹を止め、左からの攻撃を腕でガードする。
左から来たスライムが地面に落ちると同時に思いきり蹴り飛ばし、後ろに跳び下がって距離をとった。
眼前に迫る火の矢をバットで消し飛ばし、ブルースライムの動きを追う。
バットで振り払った2匹が体勢を立て直してこちらに迫っていた。
こちらも体勢を立て直し、逆に攻勢をかけるべく動く。
一気に距離を詰め、右のブルースライムに突きを繰り出す。
狙い通りにブルースライムの中心を突いて吹っ飛ばすと、そのままバットを横に振るって左のブルースライムにも攻撃を仕掛ける。
だが、こちらの攻撃は飛びのかれたことで避けられてしまう。
それを見て、こちらも後ろに跳び下がって距離をとる。
そのタイミングでレッドスライムからの火の矢が飛んできた。
バットを構え火の矢を撃ち落とす。だが、火の矢と同時に飛びかかって来ていたブルースライムの攻撃を受けてしまった。
「くっ」
腹に受けた衝撃によろめきながらもバットを構え、追撃に備える。
だが、ブルースライムは追撃ではなく他の2匹と足並みをそろえることを選んだようだ。
前々から思っていたが、スライムのくせに無駄に頭を使っているように感じるのは気のせいだろうか。
そんなことを考えている間にブルースライムが3匹並ぶ。再びブルースライムを前衛、レッドスライムを後衛とした陣形となって仕切り直しだ。
今度はこちらから仕掛ける。
真ん中のブルースライムに向かって突きを繰り出す。ブルースライムは左に転がって避けようとするが、こちらも突き出したバットを横に振り抜いて追撃する。
振り抜いたバットは左にいたブルースライムもろとも吹っ飛ばした。
右のブルースライムが飛び掛かってきたのを見て右腕でガードする。
だが、ブルースライムの後ろからレッドスライムも飛び掛かって来ていた。
レッドスライムが前に来ると思っていなかったので一瞬反応が遅れる。
「ぐうっ」
レッドスライムの攻撃力は強い。腹にまともに衝撃を受けてしまったことでよろめいてしまった。
たまらず後ろに下がった俺に対して後ろのレッドスライムが火の矢を放ってくる。
「ちっ」
バットで火の矢を撃ち落とし、一瞬遅れてブルースライムが体当たりをしてきたのを足で迎撃する。
ブルースライムが転がるのを見送り、レッドスライムに向き合って突きを繰り出す。
レッドスライムが後ろに転がって避けるのを足を使って素早く突きを繰り返して追撃する。
3発目に直撃してレッドスライムを吹っ飛ばすと、転がっているブルースライムに対して追撃を仕掛ける。
バットを2発叩き込んだところでブルースライムは光となって消えた。
離れた位置にいるレッドスライムを警戒しながら、吹っ飛ばした2匹のブルースライムを確認する。ちょうど吹っ飛ばしたダメージから復帰したところらしい。2匹揃って俺に対して敵意をぶつけてくる。
だが、わざわざあちらのタイミングに合わせる必要もないだろう。ブルースライムたちに向かって走り出した。
ブルースライムとすれ違いざまに横なぎにバットを振るう。手前のブルースライムには避けられたが後ろの個体にはバットが直撃する。
更に追撃するべく、ターンしてバットを振りかぶる。
先ほどの攻撃を避けたブルースライムが飛び掛かってきているが、ただのいい的でしかない。ブルースライムの体当たりの勢いを加えて地面に叩きつけることができた。
視界を奥にまで広げてレッドスライムの様子を探る。
レッドスライムは警戒しているようで2匹揃って離れた位置から動いていない。
ちょうどいい、このままブルースライムにとどめを刺させてもらおう。目の前に転がる2匹のブルースライムに対してバットを振り下ろした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます