第6話 ダンジョンについて(2)

 佐藤さんを見送り、時計を見ると14時を回っていた。2時間近く話し合いをしていたようだ。

 湯飲みを片づけに戻ったところで昼食をとっていないことに気付いたので、カップ麺で簡単に昼食を済ませることにした。


 その後は出かけるわけにもいかなかったので、パソコンを使ってダンジョンに関する情報を調べて時間をつぶした。

 どうやら、現在日本には2340件のダンジョンが存在するらしい。これにうちのダンジョンが追加になるので2341件となるはずだ。

 2年前のダンジョン発生時に把握されたダンジョン数が2897件でその後23件のダンジョンが出現したらしい。なので580件のダンジョンを攻略していることになる。

 また、現在確認されているダンジョンで最も階層が多いのは57階層らしい。うちのダンジョンの約10倍とか攻略できるのか?と思ったが世界は広いようだ。アメリカでは83階層のダンジョンがあり、すでに50階層のダンジョンを攻略して消滅させているらしい。

 現状、日本では約2割のダンジョンを攻略しているみたいだが、この状況が良いのか悪いのか。何にしても、自衛隊の人たちには頑張ってもらいたいものだ。


 他にも現在の最高レベルが43であるとか、ダンジョンから手に入るポーションが高額で取引されているといった情報を見ていたところでインターホンが鳴った。

 佐藤さんが来たようだ。玄関へ向かいながら時計を見ると17時になろうとしていた。



 佐藤さんと共にダンジョンのある空地へ向かうと、自衛隊の山田さんたちがダンジョンから戻っていた。どうやら調査は無事に終了したらしい。ただ、ダンジョンクリスタルが残っていることからダンジョンの攻略にまでは至らなかったようだ。


「おつかれさまでした。ダンジョンの調査結果を報告していただけますか?」


 佐藤さんが山田さんに声をかける。


「わかりました。といっても3階層までしか探索できていませんのでそこまでの報告となりますが」


 そう前置きをしつつ、山田さんはダンジョンに関する調査結果を報告してくれた。

 その報告によると家の前に出現したダンジョンには特に異常というか他のダンジョンと異なる点は見られなかったそうだ。モンスターの構成についても第1階層がスライム、第2階層がコボルト、第3階層がスケルトンやゾンビを中心としたアンデッドの構成となっていて特に異常は見られないらしい。

 また、3階層とも部屋が3つあり、第2階層と第3階層にはモンスターハウスがあったらしい。そして、第4階層には迷宮エリアが設置されていたため、そこで調査を切り上げて引き揚げてきたということだった。

 第3階層までの調査ではあるものの、彼らが懸念していた1年ぶりの新規ダンジョンという点については特に問題ないだろうとのことだ。


 報告を聞き終えると佐藤さんは「ありがとうございました」と言って話を終わらせ、自衛隊の隊員たちはそのまま車に戻って撤収していった。

 佐藤さんも「明日以降に監視用の小屋を設置するための業者とご挨拶に来ますので」と言い置いて帰っていった。



 次の日、昼食を食べ終わったころに佐藤さんがやって来た。

 昨日言っていたダンジョンの監視小屋を設置するため、設置業者と一緒に現地調査に来たようだ。俺のやることは業者の担当者にあいさつするくらいで、後のことは佐藤さんたちがやってくれるらしい。

 その後、1週間とかからずにダンジョンの監視小屋の設置が完了した。

 監視小屋は、ダンジョンの入り口を挟んでダンジョンクリスタルと向き合うような位置に設置されており、見た目は会社の守衛室のようなプレハブ小屋だ。また、電気も引っ張ってきているようで、小屋の屋根にダンジョンに向けて照明と監視カメラが取り付けられているのが見えた。


 ちなみにその間の俺はというと、探索者登録が完了していないこともあってやることがなかったので、ダンジョンの監視小屋ができるのをただ眺めながら普段通りに過ごしていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る