第4話 ステータスチェックと調査依頼(2)
電話を終え、パソコンで今度はダンジョンに関する情報を調べる。
まず、不安だったモンスターに関してだが、ダンジョンからモンスターが氾濫してくるのはダンジョンへの侵入時間が1日に1時間未満で1週間経過した場合らしい。1週間の内、1日だけが1時間未満であっても7日後にモンスターが氾濫すると書かれていた。ダンジョンはいちいち侵入者の侵入時間をカウントしているのだろうか?
また、詳しく調べてみると新しく出現したダンジョンの場合はモンスターが氾濫するまで1か月の猶予があるという記載も見つかった。うちの前のダンジョン以外にも2年の間に新しいダンジョンがいくつか出現していたらしく、それらを使って調査した結果なのだという。これを信じるのであれば、とりあえず1か月の猶予はありそうだ。
次にステータスについて確認してみると、レベル1の場合、HP、MPは100、その他の能力値は10が平均的な値だということが分かった。俺のステータスの平均値は約10なので、おおよそ平均的な能力値があると思っていいのだろう。
また、レベルアップするとHP、MPは10ずつ、その他の能力は経験に応じて2種類が1ずつ上昇するらしい。こちらについてはダンジョンに挑戦していればおのずと分かるだろう。
次いでスキルについて確認する。
スキルのダンジョン適応はダンジョン攻略のために必要な機能が付いたスキルらしい。ダンジョンでステータスチェックやスキルが使えるようになったり、レベルアップで肉体が強化されるのもこのスキルによるものだという。
また、なんと識別の機能がデフォルトで付いているらしい。なのでモンスターやアイテムについては見ればその名前がわかるらしい。ただ、あくまで識別なので能力等の詳細を確認するためには別に存在する“鑑定”スキルが必要になるらしいが。
続けて俺の個別スキルである罠探知についても確認する。どうやらこちらはややレアなスキルのようだ。
しかし、ダンジョンによっては罠がないところもあるらしいので、使えるスキルかどうかはダンジョンによると思われる。まあ、罠があるかどうかがわかっていれば安心できるので有用なスキルだと思っておこう。
また、スキルはダンジョンで手に入るスキルスクロールを使わなければ新たに取得することはできないらしい。現実世界で剣や槍の修行をしてもスキルは生えてこないそうだ。俺が欲している後衛向きの魔法なんかのスキルは現実で修行のしようもないのであまり関係ないが。
他にもモンスターやダンジョンから得られるアイテムについて調べていたが、ふと洗濯物をまだ干していないことを思い出した。
時計を見るともうすぐ12時になる時間だったので急いで洗濯物を干しに行く。時間的に何かを食べておく時間はなさそうだ。
洗濯物を干し終えて部屋に戻ると、タイミングよくインターホンが鳴った。ダンジョン管理機構の人が来たらしい。
足早に玄関へと向かって扉を開けると、門の前に3人の男性が立っていた。
「初めまして。私、ダンジョン管理機構の佐藤と申します。森山達樹さんですか?」
3人の真ん中に立つ太った中年男性が問いかけてきた。
「はい。私が森山達樹です。今日はよろしくお願いします」
そう答えながら門へと向かう。
佐藤と名乗ったダンジョン管理機構の職員以外の2人は探索者の人のようだ。金属鎧と革鎧を装備しているので間違いないだろう。金属鎧を装備している人はかなり大柄な人で革鎧の人はメガネをかけている。探索者はダンジョンの調査にも派遣されるのだろうか?
そんなことを考えながら門を開けると佐藤さんが声をかけてきた。
「早速ですがダンジョンまでお越しいただけますか?」
そう言って3人がダンジョンに向かって歩き出したので、黙って後に続く。といってもダンジョンは道を挟んだ反対側の空き地に出現しているので1分もかからずに到着するのだが。
ダンジョンの近くまで来ると他に5人の探索者がいることが分かった。顔つきなどは見えなかったが皆しっかりとした体つきで金属鎧や革鎧を装備している。女性も1人いるようだ。
しかし、鎧姿の人たちを前にすると何となくコスプレ会場にでも紛れ込んでしまったのかと思ってしまう。装備は使い込まれているようなので似合ってはいるのだが。
「それでは、ダンジョンの調査をお願いする自衛隊の方々の紹介をさせていただきます。山田さんお願いできますか」
佐藤さんがそう声をかけると、山田さんと呼ばれた初めにいた2人のうちの金属鎧の男性が他の人たちに整列するように声をかけた。どうやら彼らは探索者ではなく自衛隊の隊員だったようだ。
全員が並び終えたのを確認して山田さんが話し始める。
「私が今回の調査を担当する部隊の隊長を務めている山田です。今回出現したダンジョンは1年ぶりの新規ダンジョンということですので我々7名で担当させていただきます。今回の調査で通常のダンジョンと変わりないことが確認できた場合には、また別の者が管理を担当することになると思いますので、その際はよろしくお願いいたします」
そう言うと山田さんは続けて各隊員の紹介を始めた。山田さんと一緒にいたメガネの男性が岡田さん、他の隊員が小林さん、中村さん、山本さん、吉田さん、松本さんというらしい。ちなみに山本さんが女性の隊員だ。
「それでは、早速調査に入ります」
最後にそう言うと山田さんたちは松本さんを残し、武器を手に取ってダンジョンに向かっていった。松本さんは車に残って本部との連絡などを担当するようだ。
「では、我々も今後の話をしましょうか」
自衛隊の隊員たちがダンジョンに入っていくのを見送った後、佐藤さんがそう声をかけてきた。
「今後の話ですか?」
「ええ。このダンジョンを公開するかどうかや、どのように管理していくか、管理のための施設をどうするかなどの話です。もちろん、今回の調査で攻略が完了すれば必要なくなるのですが、それも難しいと思いますので」
なるほど、言われてみれば納得の話だ。ダンジョン管理機構にダンジョンの管理を依頼するとしてもダンジョンのある場所がうちの土地であることは変わらない。であれば、どのように管理するかを持ち主である俺と相談するというのは当然のことだろう。
「いくつか手続きのための書類を作成していただかなければいけませんし、資料もありますので申し訳ありませんが家の中でお話をさせていただいてもよろしいですか?」
そう問われたので、了承して佐藤さんを家の中に招き入れた。
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