第3話 ステータスチェックと調査依頼(1)
家の目の前にダンジョンが現れてしまった。そのことに動揺してしまったが、こういう場合はどう対処すればよいのだろう?
しばらくどう対処すべきかを考えていたが、まずはダンジョン管理機構へ連絡して専門家の判断を仰ぐべきだろうという結論に至った。
そこでふと、そもそもこれは本当にダンジョンなのだろうか?という疑問が浮かぶ。
空中に浮かぶ光る水晶や地下に続く怪しい階段がダンジョン以外に該当するとは思わないが、一応確認はしておくべきだろう。幸いダンジョンの中に入らなくてもダンジョンクリスタルと呼ばれる水晶に触れば分かるはずだし。
そう考えて恐る恐る水晶に触れてみる。
ズキッ。
水晶に触れた瞬間、頭に傷みが走った。同時に頭の中にダンジョンの名前とダンジョンの情報が流れ込んでくる。
それによると、ダンジョンの名前は“シンシアのダンジョン”というらしい。シンシアというのは人の名前なのだろうか?それとも地名なのか?
また、ダンジョンは6階層であろうことが、流れ込んできたダンジョンエリアのイメージからわかった。
「ふぅ」
ひとつ息をついて、水晶から離れる。ダンジョンの情報が読み取れたことから、これはダンジョンで確定のようだ。まあ、ほぼ間違いないと思ってはいたが。
そういえば、ダンジョンクリスタルに触れるとスキルを覚えてステータスが確認できるはずだ。早速確認してみよう。
「……」
どうやって確認するのだろうか?何となく話として聞いたことがあっただけでどうやるのか知らなかった。とりあえず、定番通り声に出してみるか。
「ステータスオープン」
すると頭の中にステータスを思われる情報が浮かんできた。
名前:森山 達樹(モリヤマ タツキ)
種族:ヒト
性別:男性
年齢:34
Lv.:1
HP:100
MP:100
STR:8
VIT:8
INT:12
MND:10
AGI:9
DEX:12
LUK:13
称号:探索者
スキル:ダンジョン適応、罠探知 Lv.1
最初の4項目には俺の個人情報が表示されていた。どこから持ってきたのかは分からないが、その情報に間違いはない。
その次はレベルが表示され、以降はHP、MPといった具体的な能力値が続いている。項目としては、HP:生命力、MP:魔力、STR:筋力値、VIT:体力値、INT:知力値、MND:精神力値、AGI:敏捷値、DEX:器用値、LUK:幸運値といったところだろう。
とりあえず、レベルが1というのはまだ何もしていないからだと思われる。だからこそ、以降のステータス値というのは俺の素質的なものが現れていると思うのだが、STR、VITが低くてINTが高いというのは後衛向きということだろうか。
後、LUKが一番高くなっているのだが、これは紅葉おばさんから遺産を相続したりしたためなのだろうか?いや逆か、LUKが高かったから遺産を相続できたのか。
残りは称号とスキルだ。称号の“探索者”とスキルの“ダンジョン適応”はダンジョンクリスタルに登録すれば誰でも手に入れることができると聞いたことがある。なので“罠探知 Lv.1”が俺個人のスキルとなるはずだ。
名前からすると罠を見つけることができるスキルと思われるが使える能力なのだろうか?後で確認してみよう。
一通り確認して満足したところでステータスが消えた。
意思に反応して表示されるのだろうか?
そう思って(ステータス)と念じてみると先ほどのステータスが表示された。声に出して唱える必要はないようだ。
しかし、いちいち全ての項目が表示されるのはダンジョンに入っているときは邪魔だと思うのだが、HPとMPだけを表示するようにできないのだろうか?
そんなことを考えていると、こちらもできてしまった。ステータスで何を表示するかも意思によって自由にできるらしい。
その後もステータスの表示を変更したりしてとりあえずの確認を終え、ダンジョン管理機構へ連絡すべく家へと向かった。
パソコンでダンジョン管理機構のことを検索するとトップに公式サイトが出てきた。そのままサイトを開いて連絡先を確認する。
フリーダイアルの番号が書かれていたので画面を確認しながらケータイに番号を入力する。しかし、番号の下の受付時間が午前9時から午後6時までと書かれているのだが、夜中にダンジョン関連の問題が起きたらどうするのだろうか?
そんなことを考えながら連絡先の番号をコールすると、2コール目で電話がつながった。
通話口から女性の声で用件を確認されたので、家の前にダンジョンが出現したことを伝える。
すると、係の者に代わりますのでと驚いたように言われ、少しした後に男性の声で再度用件を確認された。
もう一度同じ説明をすると、確認に向かいますのでと言ってこちらの住所を確認してきた。引っ越し直後で住所を覚えていなかったこともあり、免許証を取り出して住所を確認しながら家の住所を伝える。
電話の向こうの男性は少し考えた後、1時間ほどで確認に向かいますと伝えてきた。
1時間後というと12時を少し回ったころだ。確認にかかる時間がどの程度かはわからないが、軽く何か食べておいたほうがいいかもしれない。そんなことを考えながら、わかりましたと答えて電話を終えた。
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