第13話
いつもは、離して敷いてる2枚の布団、今日は重ねてひとつに敷いて、枕はふたつ並べて置く…。
2人歩んで湯屋から戻り、髪を下ろして手櫛で解いた…。
火照った素肌に浴衣を羽織り、ふみは布団に横たわる…。
「あぁ…旦那様…」
康次はまるで壊れ物、触るようにふみを抱く…。
康次に口を吸われれば、ふみは歓び嬉し泣く…。
ことが終えても腕の中、康次の胸に寄り添って、これは本当に夢の中、ふみは康次の手を握る…。
「ふみよ…私はお前を離したくない…なぜ故に夫婦なってくれんのか?」
「おらの気持ちはとっくのとうに、旦那様、ひとりの物だで、堪忍して…」
「訳は何だい?話してごらん」
話せば康次に嫌われる…ふみは話さず謝るばかり…。
「あいやわかった、それならば話す気が出るまで私は待とう…しかし、何事があっても、気持ちは変わらぬ、後生だから、夫婦になろう…夫婦になれば話せるだろう…ふみは私の嫁になれ…」
「おらで良いの?おらは禁忌の忌み嫌いの子、本当におらで良いですか?」
「構わん、ふみは私の女房、後から、訳は話せば良い」
「もしも、話を聞いた時、おらを嫌いになったなら、どうか捨てて下さいませ」
「お前と離れるその時は、私があの世へ行った時、それまでお前を離しはしない…」
翌日2人は盃に御神酒を注いで三々九度…
2人だけの祝言を挙げた…。
康次の前に畏まり、三つ指ついて頭を下げる。
「旦那様、どうぞ宜しくお願いします」
「私はこれからふみの亭主、どうか康次と呼んどくれ、どうかお前と呼んどくれ」
「分かりました、お前さん」
ふみは、はにかみ呼んでみた…。
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